小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。8月限定版。

「休む技術」「整える技術」に無頓着な現代人

プロのスポーツ選手であれば、最高のパフォーマンスを出すためにコンディションを整えるのは当たり前のこと。では、プロのビジネスパーソンは最高のパフォーマンスを出すために、日々、最高のコンディションを整える努力ができているだろうか。

とある、経営者が投げかけた問いです。

最近、生産性向上ということから「短い時間で、パフォーマンスを出す」という技術はより進歩しているように感じます。例えば、自身の強み、弱みの自己認知の向上、より没入して仕事に打ち込むための集中する技術、テクノロジーの活用など。ひと昔前に比較すると、自身の最適な能力開発における体系立てをしやすいのではないでしょうか。

ただ、これだけでは持続的なパフォーマンスを発揮することはできません。

スポーツに例えるといま、紹介したものは能力開発と捉えることができます。あとパフォーマンスを発揮する上で何が大事か。そうです。コンディションを整える、身体を休ませるという観点が欠けています。

最近、あるサッカー選手の記録が話題になりました。サッカー好きの方ならばご存知だと思いますが、横浜・F・マリノス中澤佑二選手が「140試合、連続フルタイム出場」という偉業を成し遂げたのです。なぜ、この記録がすごいかというと、ひとつは、年齢です。中澤選手は現在39歳。ベテランでいながら、常に出場し続け、若手に負けないハイパフォーマンスを出し続けたんです。もうひとつは、ケガをしなかったこと。サッカーはケガをしやすいスポーツです。特に中澤選手はセンターバックという相手FWとガチガチに身体をぶつけ合うポジションでいながらこの140試合、大きなケガをまったくしなかったのです。

そんな中澤選手にまつわる話が、ストイックすぎる健康管理です。

食事は、決まって朝、昼、晩きちんととる。また栄養管理も徹底していて南アフリカWカップ敗戦直後の夜、バーに行ったとき、他の選手はアルコールを注文したところ、カフェオレを注文したというストイックすぎる逸話が紹介されています。


徹底しているのは、食事の管理だけではありません。もうひとつの秘訣は睡眠時間の確保。FOOT×BRAINというサッカーを深掘りする番組に中澤選手がゲストで出演したとき、就寝は決まって22時。起床は、6時。しっかり8時間睡眠を確保することが大事だと語っています。ちなみに8時間というのは、睡眠上大事な数字で、Amazonジェフ・ベゾスなど名だたる経営者も「8時間の睡眠」を公言しています。


そして、中澤選手は、FOOT×BRAINの番組でこう話をしています。

僕はテクニックとかスピードとかサッカー選手として大事な部分が他の選手よりも劣っているところがあるので、じゃぁ、どの部分で戦った方がいいんだろう、どう補えばいいんだろう、と考えたときに、サッカーのグラウンド「以外」のところでどれだけ他の選手と差をつけられるか、を考えました。

 

パフォーマンスを考え続けた結果が、食事と睡眠だった、というお話でした。

なんでこんなテーマをあげてみたかというと、最近、生産性向上の話題が過度に行き過ぎていて、個への負担ばかりが増え続けているように感じたからです。前は○○時間でできていたことが、いまは半分の時間でできるようになりました、と美談のように語られるケースです。コレ自体は素敵なことですけど、持続可能性という観点でみるとどうだろうか、というケースもないとは言い切れません。

身体を酷使しすぎではないか。
心のケア、充足はできているだろうか。

もしかすると、「休む技術」「整える技術」を磨くことが、他者と比してよりよいパフォーマンスを出し続ける近道であり、本当に意味での生産性向上につながるのかもしれません。

最後に。

何気に健康管理については以前、こんな記事も書きました。


で、結果は?というと、実践できていません。。。。
はい、わたしも精進します。

雑談の捉え方で組織の生産性が変わる、という話

最近、これからのマネジメントをテーマに取材をしたり、多方面で記事を読みあさったりしていると、ひとつのキーワードが出てくることが多くあります。それが「雑談」です。そこで唐突ですが、読者の方に質問です。あなたの職場では「雑談」はポジティブに捉えられているでしょうか。ネガティブに捉えられているでしょうか。

どうやら、この雑談の捉え方によって、組織の生産性が大きく変わる、というのが今日のお話です。まずは、最近気になった「雑談」にまつわる記事を紹介します。


最初の記事で指摘されているのは、グループのもっとも重要な成功の予測因子は、同僚とのやり取りの量であるということです。またここが重要で、あくまでも量が大切であり、質ではないといいます。話す内容は無関係で、技術的なことであろうと、単なる暇つぶしのおしゃべりであろうと、他人と話しをすればするほど、生産性が向上するそうです。お金をかけないものとして、食卓のテーブルを大きくして大人数で交流を促したところ、パフォーマンスがあがったという話も。

2つ目の記事は、ホウレンソウのつぎは、ザッソウ(雑談の雑、相談の相)が重要になるという話。とかくイノベーションにつながる突飛なアイデアは、チームの雑談の中から生まれるといいます。そして雑談は、心理的安全がキープされて初めて成るという話です。また雑談のある職場は、何より「楽しそうだ」とも言っています。

また、雑談の効能として「相談しやすくなる」という効果も。物事を解決するのにいまは個ではなく、チームで解決していかなければならない。そのときに、チームの人となりがわかり、知っている人が困っていたら自主的に助けたいって思うのが、人間の性であり、これが有機的にチームワークにつながることが指摘されています。

3つ目の記事は、糸井重里さんのほぼ日の話。実際にその組織で働いた社会学者がほぼ日の不思議な雑談の文化にアプローチしたものです。ほぼ日刊糸井新聞のようにメディアを運営していることもあり、社員のクリエイティビティを発揮させる上で、雑談は重要な機能を果たしているという指摘がされています。そして、自身がグッときたのは、この言葉「あえて意地悪く言えば、(雑談は)組織のなかで半ば強制的に各人の個性を磨いてつくり上げ、個々人の特性を使い倒そうとする姿勢と習慣だと言い換えることもできる」というもの。雑談が個々人の個性を磨き、特性をあぶり出し、それを使い倒すための機能的なものだといいます。使いたおすってすごい言葉ですね。

4つ目の記事は、元Googleのアジアパシフィックの人事責任者の記事です。Googleの最高の上司は、メンバーのパフォーマンスを引き出すために「質の高い雑談」しているというお話。質の高いとは、メンバーの価値観が形成されてきたバックグラウンドがわかる雑談のこと。マネジメントする側はこのたわいもないと思われる会話の一端から、さまざまな情報を取得する。そしてチーム間の相互理解の深まりが心理的安全をつくる土壌になることが指摘されています。

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総論、乱暴ないい方ですが、「雑談が組織の生産性を向上させる」という話です。もともと経営管理における考え方の大部分は、フレデリック・ウィンズロー・テイラーのルーティンの標準化とプロセスの最適化が生産性の肝という科学的経営管理に沿ったものです。一方で、モノを大量に生産した時代から、シェアリングといった新しいモノサシが価値を生む時代には、他にはないクリエイティブが付加価値を生む時代になります。そのため、過度な標準化を進め、無駄を削ぎ落とすプロセス最適化では必然的に社員が歯車化し、持続的成長を阻む要因となることは否定できません。これからのマネジメントは、個の特性を活かしきること。そして、チームとしてアイデアを昇華させる仕組みをつくることが、生産性を大きく飛躍させるヒントがあるように感じます。

そして、生産性を支える機能のひとつが「雑談」というわけです。

ただ先ほど「乱暴」といったように、職場でただ雑談した方が生産性が高まるという指摘もわたしは違うと思っています。実際に上記に挙げた組織の方にお話を聞くと、「組織の目的を理解している」「社員の自立性が高い」など、雑談で得られた情報やアイデアをしっかりと仕事に落とし込む素地が整えられているという背景があります。

昨今、働き方改革の名の下に「長時間労働の是正」が叫ばれています。中には、時間当たりの生産性を向上させるために無駄と思われがちな「雑談」を排除するという職場もあるのではないでしょうか。しかし、会社を大きく俯瞰すると持続的かつ創造的な組織には、そのコアバリューを支える「雑談」という機能が組み込まれている可能性があります。自組織のパフォーマンスの源泉の理解不足により、実はそれを支える雑談の価値を誤って評価していないか、もう一度振り返る必要があるかもしれません。

さて、ここで改めてこの記事の最初の質問をしてみます。

あなたの職場では「雑談」はポジティブに捉えられているでしょうか。
ネガティブに捉えられているでしょうか。

その根っこに、生産性向上のヒントが隠されているのかもしれません。


 

良い子では、ゲリラ戦に勝てない

目的達成のために、手段をどう選択するのか。

唐突ですが、最近こんなお話を伺いました。先日、とある経営者とお話をしていたときの話題です。内容は「弁護士への相談からみる米国の経営者、日本の経営者の違い」についてでした。ここのスタンスの違いがとてもユニークだというんです。

日本の経営者は、弁護士にこう相談するんだそうです。
「この事案について、白黒つけたい。白か、黒か、教えてほしい」

黒であれば、もちろんNG。白であれば、GO。世の中には、白なのか、黒なのかが分からない灰色という「際(きわ)」というものが必ず存在します。日本の経営者は、このグラデーションの部分について、白黒つけることに注力する傾向があるそうです。

一方で米国の経営者は、弁護士にこう相談するんだそうです。
「この事案について、灰色を白に見せる方法を教えてほしい」

上記で挙げた際(きわ)の部分、グラデーションで黒とも判断できるかもしれないし、白とも判断できるかもしれないこの中間色を白に見せることに注力する傾向があるそうです。

法や規則に対して黒であれば当然、事業に対して致命傷となるため、やってはいけない。これは当たり前です。ただ、致命傷を負わなければ、よし。目的のためにまず前進させるというスタンスは、早期の「目的達成」を第一と置いていると受け取ることができます。一方で白黒をつけるというスタンスは、「致命傷を絶対に負わないこと」を第一として、実は目的達成を遅延させているともとれます。

このエピソードを聞いた際に、いろんな場面でありがちだな、と。

目的達成した方がよいと合意形成ができていながら、「でも、この懸念が、、、」とリスクを洗い出すことに全力を注ぎ、進捗が遅延し、いつの間にかリスクを潰すことが目的化しているケースです。

白黒つけられない部分があるかもしれないけど、まずは前進させること。
白黒つけられない部分があるから、まずは白黒をつけて前進させること。

ケースバイケースであるものの、ビジネスのスピードが早くなる中で、どちらがより早く目的を達成できるのか。いつの間にか、目的達成よりもリスク回避が目的化されていないか、いま一度、自分の進捗の在り方を考えるキッカケにしたいと思いました。

組織における正規戦だけにこだわっていては、
不正規戦(ゲリラ戦)に勝てない(のかもしれない)。

取材先選定をどう決めるのか、をまとめてみた

編集視点で、旬な情報を取得する方法から取材のちょっとしたTIPSを紹介したところ、多くの反響をいただきました。ありがとうございます。

chibiblog.hatenablog.com


一方で情報収集や取材の話をしていたところ、知人から「取材先選定をどのようにしているのか、も聞いてみたい」という要望をいただきました。ありがたい話です。「企業秘密なのでは?」という話もありましたがそんな大層なものでもないので、こちらもざくっとまとめて公開しました。あくまで、自メディアの取材先を決める軸なので、参考程度でみてください。

■取材先を選定する上で、大切にすべきこと
まずは、取材先を選定する上で大切なことがあります。

1)メディアのテーマに沿った取材先であること
メディアを継続させていく上で「メッセージ」の一貫性は大事です。よくやりがちなのが、有名人でBuzzりそうだから、選定したというパターン。そこに必然性はありません。

2)信頼できる人であること
本を出版しているなど、世の中に一定の知名度をお持ちの方はいますが、実は同業界で評判が悪い人もいます。その悪評を知らずにメディアで取り上げると「あっ、このひとを取り上げてしまうのか、、、残念」と、発信する情報の信頼度を下げてしまうことになります。そうしたリスク対策として、同業界に詳しいかつ信頼できるひとに確認することも大事です。

3)今回の企画趣旨のテーマへの必然性があること
1)や取材のテクニックの記事にも書きましたが、なぜ、その取材先なのかという必然性があること。逆に、そのテーマならば、もっと読者の共感を得るひとがいるという話であれば、まずは候補に挙げてみることが大切です。


上記の3つはMUST事項です。では、1)、2)、3)を判断する材料をどう取得しているのかというと、ブログや日頃のFacebookの投稿などです。こうした生の声を判断材料とします。また、人や業界に詳しい方がネットワーク(人脈)にいれば、率直にその方の評判に関するヒアリングをします。なぜ、そこまでするのかといえば、読者の「信頼」を裏切らないようにするためです。

■「有名人(インフルエンサー)」ではなく「良き応援者がたくさんいる人」
取材先の選定として、もうひとつ大事な要素があります。それは「デリバリーの能力」です。デリバリーとは、FacebookTwitter、インスタなどに代表されるSNSの拡散になります。なぜ、大事なのかというとできた記事がいくらよい内容であっても、SNSを代表とする記事のデリバリーを抑えない限り、読者の手元に広く届けることはできません。

ありがちなのが、「有名人(インフルエンサー)」を取り上げれるというのがわかりやすいのですが、オウンドメディアという弱い立場の場合、大手メディアに露出で叶うことはできません。またインフルエンサー ≒ 大手メディアに露出したことがある人というケースがほとんどです。この場合、既存の記事と内容が重複することが多いため、二番煎じとなりやすく、話題となるコンテンツになりにくくなります。

では、どうするのか。

大事な視点は、有名人ではなく、「良き応援者がいる人」を取りあげるということです。インタビュイー自身ではなく、インタビュイーを囲む人たちです。「○○○さん、いつも応援しています!」「そのサービス、いいね!応援しているよ」といつも声をかけている人たち。この方々がどんなひとで、普段どんな言動をしているのか、というのをチェックしています。この囲むひとたちをLinkedinなどに習い、1次ネットワークとします。この1次ネットワークが上記の3つを満たし、インタビュイーの周りの方も共感するスイッチを押せるのであれば、デリバリーの経路はすでにできているものと同じです。

ちなみに、インタビュイーと囲む人(応援者)の場合、どちらが拡散にとって重要かというと、囲む人(応援者)の方です。実はインタビュイーが有名でなくても、応援者のデリバリー力が強ければ、SNSでコンテンツを流通させることができます。よくあるのが、まだ露出が少ないベンチャーの経営者(インタビュイー)と応援する人(著名なVCの方やベンチャー経営者)というパターンです。

逆にインタビュイーが有名で、囲む人はデリバリー能力がない、というパターンもあります。例えば、有名な学生ですね。インタビュイーはインフルエンサーであるが、まわりの学生はふつうの学生。この場合は流通経路が細くなるので、インタビュイーがいくら有名であっても、1次情報の先にコンテンツが流れることはありません。

結論、デリバリー経路の設計を組み立てられる、というのも小さなメディアでは大切な視点になります。ひと昔前はKLOUTスコアなるものがあって、簡単にインフルエンス力を定量化するツールがあったので、この定量数値を見ながら、取材先を決めたという経験からいまの軸ができたという背景もあります。

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いかがでしたでしょうか。

コンテンツをリリースして、取材先のインタビュイーのメッセージが世に出て、応援者がそれを支援し、読者はそのメッセージに共感したり、気持ちを揺さぶられたり。ときにはSNSで議論が勃発して、より観点の深掘りができたり。そうした場をプロデュースできるイメージがつく、というのが最終的な選定のポイントになる気がします。

もちろん、各メディアごとに読者層もインタビュー先も異なるため、参考になるかは分かりませんが、もしひとつでも得られるものがあったというようならば、うれしいです。また要望がありましたら、それに合わせて記事を書いてみようと思います。ではではー。

相手の内面を引き出す、取材のテクニックについて

メディアの編集を担当していて、もっとも大切なプロセスのひとつが取材。この取材の出来いかんでその記事のクオリティが100にもなるし、10にもなる。だからこそ、この取材のクオリティを上げるということに注力しています。ということで、これもよく聞かれる話題のひとつだったので、よいコンテンツをつくる上での取材テクニックをざっとまとめてみました。

■そもそもなぜ、取材をするのか:
取材は、読者コミュニケーションを支える素材集め。料理に例えると、食べるひと(読者)をイメージして料理の具体的イメージをつくり(企画/構成)、素材(ネタ)を集める。コミュニケーションはあくまでメディアと読者との間にあるのだけど、インタビュイーと読者のコミュニケーションとも捉えています。コメントとかあたかもインタビュイーと読者が対話しているように。

そして、その対話にはメッセージがのります。そのメッセージが読者に刺さるのか、否かは、取材で感情が乗った言葉をもらうことができたのかにかかっています。いい素材をいただければ、よい料理ができるわけです。

■取材時の大きな流れ:
信頼 → 安心(リラックス) → 熱中 → 本音 のサイクルをまわせるか

何度も取材をした方であれば、信頼関係が一定担保されています。一方で初めてだと「彼は、安心して話をすることができる相手なのか」と警戒されています。だからこそ、まずは信頼できるインタビュアーだと思ってもらうことが大事です。では、どうその場を整えるのかを書き出してみます。

1)何を目的としたメディアで、どんな人が読者なのかを伝える
…メディアの大テーマと、読者層(年齢、職域、男女比など)を伝える。メディアの趣旨に賛同できる、というだけでもグッと距離が縮まります。

2)なぜ、今回取材を申し込んだのか、背景を伝える
…インタビュイーに取材対象とした必然性を伝える。なぜ、あなたなのか、が伝わるだけで、「自分のことをよく調べているな」と思われ、インタビューに入る雰囲気をつくることができます。

3)取材時間の確認を行う
…「○○時○○分までの90分でよろしかったでしょうか?この直後のご予定などございますでしょうか?」と、相手のスケジュールを確認する。配慮をすることで、安心してお話をいただける状況をつくることができます。

逆にインタビューに入る前に、上記のような配慮なしに一方的に取材に入るとインタビュイーに警戒されてしまい、本音を語ることなく時間が過ぎることになります。実は、この入りで取材の成功が大きく左右されることになります。

■安心を生む質問を投げかける:
1)最初は、事実ベースの問いを投げかける:
インタビューでは、まず相手が話しやすい場をつくることが大事です。そのため、まずは「事実ベース」で答えられる問いを投げます。例えば「いまのお仕事は?」「どんなお仕事をされてきたのか?」など。プロフィールを見ればわかるような内容であっても、まずは相手が話しやすい「事実ベース」から話をスタートさせることが場を和ませ、リラックスさせることにつながります。

2)対話を楽しむ:
質問は、事前に決めてきたことではなく、相手の会話を基に質問することです。事実ベースで安心のベースが整ったら、徐々に相手が熱中するポイントを引き出していきます。ここでは、事前に想定していた仮説をぶつけにいくことになります。うまくハマれば対話が熱中してくるはず。

ここでの失敗パターンは決めてきた質問項目に対して、一問一答になるパターン。これだと対話が白熱し、熱がこもることがなくなるので、感情がのったメッセージを拾うことができません。

■本音を引き出す質問テクニック:
1)沈黙を大切にする
準備してきた取材であれば、深掘りする決めの質問をいくつか用意しているはずです。徐々に対話が白熱したところで、その質問を投げかける。おそらく思考に入り、じっくり考える時が出てきます。そこで、じっくりと時間を掛けること。わたしの場合は、この沈黙の時間では絶対に相手が話を始めるまで声を出すことをしません。なぜならば、安心の場でインタビュイーが内にある気持ちと対話を始めた時間だから。ここで絞り出された言葉が、実は強烈なメッセージになります。

2)同じ質問を繰り返す
上記の深掘りする決めの質問がありますが、あえて、取材終了間際に「今日のお話の中で重複するかもしれませんが、」と前置きを置いた上で、同じ質問をします。話の流れの中で語ることと、全部話を終えた上で、同様の質問を投げると実は思考モードが変わっていて、より気持ちがのったメッセージをいただくことができます。また、記事に書くときに2度した質問の情報を得ることで、記事内でいちばん盛り上げたいところの情報に厚みを持たせることができます。

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ということで相手の内面を引き出す、取材のテクニックをざっと挙げてみました。その中でわたしがいちばん意識するのは、「三方よし」の関係をつくること。インタビュイー、読者、インタビュアーすべてがよかったと思える取材です。インタビュイーのメリットはその取材を通して新しい「気づき」を得られること。それを提供価値としています。だからこそ、先ほど紹介した問いに対する「間」を大事にしています。ライターの中には、この沈黙が恐怖という方もいます。逆です。沈黙は、ポジティブです。

最後に取材の締め方について:
取材で話をした後の確認事項をしっかりと。スケジュールを伝える。広報と確認者の都合を聞く(イベント、プレスリリース、海外出張など確認しにくい期間がないかを事前確認する)、(広報が同席している場合)当日の取材時にNGとなるストーリーを先に確認。また、私がよくやる手ですが、もっとより良い記事にするために「追記」の可否を確認します。これによって、構成上、どうしても具体的ストーリーなどを挙げたい部分に無理なく打診をすることができます。

ということで、ざっと自分が抑えている取材のポイントを挙げてみました。ほかにもよい取材のポイントがある方は、ぜひコメント、メッセなどお寄せください。ではでは。

先を見るために発掘するべきは、「情報」ではなく「人」

久しぶりの投稿です。今回のテーマは「情報収集」について。

メディアの運営や編集をしていることもあり、新規事業などの企画や編集など、先を見ることを主軸に置く方から「chibiさんはどのように「情報収集」しているのか?」との問いをよくいただきます。

ニュースメディアを追う?
はてなブックマークを追う?

たしかにそうした行動もしているのですが、おそらくほかの方がしていない行動がひとつあります。今日はその行動について書きます。

まず、大事な観点で目的を達成する為に必要な情報はどこにあるのか?という視点が必要です。例えば、わたしの場合は「仕事/働き方」などテーマが絞れています。これからの働き方の選択肢となりうるユニークな情報ですね。

では、こうしたテーマで面白い情報はどこから取得するのか。まず「面白い」とは、「発見 × ワクワク」であると捉えています。発見は、新しい気づき。そして、ワクワクは自分ごとと捉え、自分の未来への期待を感じている、という解釈がとれると思います。そうした意味を踏まえ、発見があり、面白い情報はどこにあるのか、考えます。

で、話題を引っ張ってきましたが、答えはシンプル。
それは「人」にあるということです。

では、そうした面白い情報が集まる「人」とは、どこにいるのか。結論、発見を与え、ワクワクさせる人の周りにはそうした方が集まります。例えば、「コミュニティ」ですね。facebookでいえば、グループ。もしくはコミュニティの長です。

ここからがコツですが、そうした方々と直接つながりがなくても、「Facebookでフォローする」という機能があるので、相手をフォローすることで言動を追っていくことができます。ちなみにchibiは、「150名のフォロー」があり、その言動を追っています。

しかし、メディアを運営していく上で、他メディアとは異なる人を追い、新たな発見を読者に提供していかなければなりません。だからこそ、ここでもうひとひねりします。それは、こうしたクラスタの長が「応援している、支援している人」を探す、ということです。「○○さん、このサービス、いいね!がんばって」「このアクション、素敵です!」といった声を掛けられている方ですね。クラスタの長がこうして支援していることもあり「未来を感じる」しかし、「近い将来世の中に出る」といった要素を十分に含んでいます。こうした方々のブログやFacebookの発信が個人的によい情報の元になっています。そして、メディア人として、この方をどのタイミングで取材しようか、と追っていることがあります。

結果、これが直接会う取材というカタチとなり、仕事になり、強いつながりが生まれ、上記の情報収集方法とは異なる一次情報の取得というより信がある強固なネットワークになっていく、という流れです。

だからこそ、大事なことは情報を追うのではなく、人を追うこと。

あくまで自分の情報収集方法の一部をご紹介しましたが、何かの参考になっていたらうれしいです。それにしても、久しぶりのブログ更新で文章がいまいち。背伸びせずにゆるゆると続けていきます。

※7月から「毎日、ブログを更新するぞ」の企画が復活しました。今回の記事はキャンプに出かける前の30分で書き上げました。瞬発力を鍛えます。




テクノロジーだけの企業は、テクノロジーによって滅びるという話

「テクノロジーだけの企業は、さらに優れたテクノロジー企業の登場で滅びる。大事なことは、人とテクノロジー双方に優れていること。汗かいて、泥臭くできる人とテクノロジーを掛け合わせることができれば、なかなか真似することができない競争力となるんだ」


誰の言葉かというと今、自分が所属する会社の役員からいただいた言葉。彼は元々テック企業にいて、どちらかというとアナログな今の会社に転職してきた。そこで自分はこんな質問をした。

「なぜ、当社に転職してきたのですか?」

その問いに対する解が冒頭に挙げた言葉でした。

「テクノロジーは導入しようとすれば、どこの企業でもできる。しかし、顧客のために泥臭く、汗かく文化はそう簡単にはつくれない。ここにテクノロジーが加われば、すごい企業になると思ったんだ」。

自分よりも10歳以上は上であろう役員が、饒舌に語った忘れられない言葉。事実、会社はこの言葉を聞いたあとずっと伸び続けた。こんなことをふと書きたくなったのは、先週のカンブリア宮殿レオス・キャピタルワークス」の藤野さんの回を見たから。番組内で藤野さんのスタンスも同様のものだったからです。

共通点は、アナログな部分に価値を見いだしていること。

www.tv-tokyo.co.jp



情報を足で稼ぎ、自分の目で判断する。

アナログで、競合優位性をつくる。最近、自分が聞くのはアナログの価値をソフトに乗せるサービスや企業が伸びていること。確かにテクノロジーで急成長する企業も多いけど、2、3年でまたどこかしらの企業が台頭し、消えていく。栄枯盛衰のサイクルがとにかく早い。

アナログな企業はどうか。

真似できない部分をコアとしながら、テクノロジーでドライブをかけている。自分がお話を聞いた企業でも例えば「Linkers(リンカーズ)」のような技術の目利きできる職人が中間に立つことで成立できているサービスも多い。結局は企業の優位性を生む部分は、簡単には真似できない部分にある。

結果、「人」になる。

仮に競合優位性がテクノロジーだとしても、そのテクノロジーに優位性があるのは、いつまでだろうか?

結局は競合優位性を生むコアとなる人をどう育てるのか。
そして、その人をどう活かす為にテクノロジーを活用するのか。

何年たってもその話はいっしょで、活用するテクノロジーが変わっていくだけ。だからこそ、アナログ力を高めたい。そんなことをふと思った週の初日でした。

※今日は落ちなしの日記で完結。

当たり前の事実だけど、時代ごとに働き方の価値観は変わるという話。

働き方改革の話をするときにほぼ必ずといっていいほど、話題になるCMがあります。それがこれです。

「24時間、戦えますか?」のフレーズでおなじみ、三共の栄養ドリンク「リゲイン」のCMです。

www.youtube.com



黄色と黒は勇気のしるし♪ のフレーズは聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。いま考えれば「24時間、働けますか?」なんて、狂気の沙汰としか言いようがなかったのですが、このCMが一世を風靡しました。

第一三共ヘルスケア社の公式ページをみていると、社会の反響ぶりが伺えます。

・「24時間、戦えますか?」のフレーズは1989年流行語大賞 銅賞
・CD販売は「60万枚」の売上。※ミリオンも夢ではなかった?
・カラオケランキングでも、トップクラスの順位をキープ
高校野球の応援歌でも使用される

つまり、長時間労働が当たり前/カッコいいと思われていたわけです。
↓↓ リゲインの裏話はコチラ

www.daiichisankyo-hc.co.jp


強いジャパニーズビジネスマン。
24時間働ける、パワフルでできる男。

しかし、CMの変遷を見ると社会と働き方の変化が投影され、そのギャップに思わず笑いが出てしまいます。

例えば、これ。

佐藤浩市さん扮するビジネスパーソン。24時間、戦えますか?という力強さは一切なく、自信喪失。ちょっとぬけてるビジネスパーソンが表現されています。強調されているのは「現代のビジネスパーソンは疲れている」。

www.youtube.com


そして、次が2000年代中盤。ここでなんと「24時間、戦えますか?」が復活します。それがこれです。

www.youtube.com


約30年前は、24時間、戦えますか?が社会の当たり前に。
約20年前は、自信喪失。疲れ果てているビジネスパーソンに。
約10年前は、景気浮揚に伴い、24時間、戦えますか?が復活!!!

ということで、これだけ社会が変化し、そこで映し出されるビジネスパーソン像は大きく変わっていたというのがわかります。たった10年ごとの間で「24時間、働けますか?パワフルなビジネスパーソン」と「仕事はつらい。疲れがたまったビジネスパーソン」が行き来するわけです。

そして大事なことは、こうした時代に生きたビジネスパーソンはその原体験より、その働き方や価値観が「当たり前」になっているというのを忘れてはいけないということです。次の新しい働く価値観をつくっていく中で、こうした文脈理解は世代間の溝を埋める上でも大事な視点ではないかと思います。

さて、そういう話をつらつらと書いていくと、知りたくなるのが最新のリゲインのCMです。

調べてみたところ、最新は2012年? 元気を取り戻そう!のCMです。
ぜひご覧あれ。

www.youtube.com

 

最後に:
実はリゲインはこんなCMもやっています。哀愁が漂っていますね。。。。

www.youtube.com

日本の営業マンは、人工知能に代替されるのか、されないのか。

2月2日、Sansan社が主催する「働き方改革」をテーマにしたカンファレンスに参加してきました。2016年も伺っていて充実した内容だったので、今年も楽しみにしていました。

jp.sansan.com


結果は、大満足。「働き方改革」の最前線の一端を学ぶことができ、自分が日々の取材や情報収集だけではない視点が得られたのは財産となりました。改めて、このイベントに従事されていた皆様に感謝申し上げます。

さて、書きたいことはたくさんあれど、今日のブログの表題にも掲げている「人工知能と働き方」というテーマが刺さりました。なぜ、刺さったかというとここに働き方を阻害する根っこの一端を見ることができたからです。

内容は「人工知能によって、ひとの仕事は代替されるのか」
そして、ここで挙げられた表が興味深い内容だったんです。

日本のビジネスパーソンへのアンケートで、
「もっとも人工知能に代替されにくい職業は、営業」でした。

一方で並べられていた表は、オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授の研究結果でした。そこには「人工知能に代替されやすい職業:4位 セールスマン」とあったのです。

この違いについて、同テーマのパネラーである「厚切りジェイソン」さんはこう言いました。「欧米のセールスマンに比して日本のセールスマンは、非合理。そこに価値があると思っている。その非合理部分が代替されないと思っているのではないか」※一字一句合っているわけではないので、そこはご了承を。

的を射ている発言。セールスのプロセスでいえば、

「課題を抱えるお客さまをみつけ」
「課題の解決となる自社の製品を紹介し」
「お客さまに決裁していただく」

で、整理すると確かに代替される可能性が高そうな気がします。

「顧客を見つける」…顧客データもしくはネットの情報から対象企業を割り出し、順位付けするのは可能
「自社製品を紹介する」…製品を紹介するのはパターンなので代替しやすい。個別課題については、対話で十分対応可能。
「決裁していただく」 …唯一、決めてもらう、というのは合理的判断だけでは済まないところがあるので、ここだけ残るのでは?

大事なことは、「日本の」という点です。

合理的な決裁をするお客さまとセールスマンにおいて、人工知能で代替可能になるでしょう。一方で、営業の訪問を好んだりする非合理なお客さまと付き合うセールスマンというものから、人工知能の代替可否に文化背景が色濃く出ている気がしました。以前、とある著名なTOPセールスマンの方にインタビューしたことがあるのですが、理路整然と話をし、納得いただけるものだったと思っていましたが、お客さまは契約しなかったそうです。そして、お客さまはこういったそうです。『あなたのいうことは正しいかもしれない。だけど、あなたからは買いたくない』」——「製品を買う」ではなく、そこに人があることが日本独特のものであり、こうしたビジネス習慣や文化そのものがTECH浸透かつ生産性の妨げになっている事を改めて認識しました。

ほか、米国の経営では合理的判断で、セールスマンを人工知能に置き換えると決断した場合、セールスマンは異動かリストラとなります。一方、日本は解雇規制が強く、簡単にはリストラできません。その人たちの雇用を守る前提の決断となり、判断が鈍くなる可能性も否定できません。

ということで、「日本の営業マンは、人工知能に代替されるのか」というパネルディスカッションのひとつのテーマだけでもこれだけ考えることが多かったので、その気づきを一つひとつ考察し、アウトプットしていきたいと思います。

(余談)

この登壇で知ったのですが、「厚切りジェイソン」さんは、イリノイ大の人工知能の修士だったんですね。元GEのプログラマで、現テラスカイ社の役員という理系文脈の方だというのは存じていたのですが、まさか人工知能の研究もされていたというのは知りませんでした。。。。それだけに今回の登壇コメントもするどい発言が多々。いや〜、勉強になりました。

週休3日の働き方がニュースになる国。当たり前の国。

Yahoo!が週休3日の働き方を検討することが、昨年の9月に話題になりました。対象は、全従業員5,800人です。

this.kiji.is


働き方を変える理由は、「優秀な人材の確保」でした。実際に、多様な働き方を推進する企業には、多様でバラエティに富んだ人材が集まっています。優秀の定義は企業ごとに異なるため、この施策がどの企業にも有効か、というと違います。Yahoo!にとって優秀な人材を集める手段として有効ということでしょう。

さて、話を変えます。
週休3日制が、共同通信によって配信されるのが日本です。一方で海外ではどのような働き方があるのでしょうか。多様な働き方という文脈でよく話が挙がるのが「オランダ」です。そこで、オランダに住む知人にオランダの働き方について、話を聞きました。

結論からいうと、週休3日の労働者が当たり前のようにいる、という話でした。例えば、2、3歳の小さな子どもがいる家庭を挙げてみましょう。父親は、週4日勤務で母親は、週3日勤務という家庭があります。お休みの日はたとえば、父親は水曜日にお休みをとる。母親は、火曜日と木曜日にお休みをとる。そうして、子どもと触れ合える時間を確保しているそうです。とくに水曜日は『Papadag』(=オランダ語で「パパの日」)と呼ばれ、パパが平日に子どもと遊ぶ日として認知されており、周りの方も「今日は、『Papadag』なんだね」と声をかけてくれる、そんな環境なのだそうです。

参考になる記事を見つけたので、下記にリンクを貼ります。

otoyon.com


2000年ごろ、ドイツで働いていたときは、金曜日の午後はお休みでした。なので、週4.5日働くという感覚でしょうか。なので、週休3日の働き方が日本ではニュースになりましたが、海外ではすでに当たり前のように運用されているのです。

さて、ここからが本題。
では、オランダもドイツもなぜ、週休3日制がうまく運用されているのか。オランダの知人に話を聞くと、「何よりも大事なことは家族の時間だから」という話でした。家族との時間が何よりも大切なことで、仕事がそれを阻害するようならば、働き方を変えるというスタンス。ドイツでもそれが当たり前のように浸透していて、私が働いていた事務所のケースでは、昼休みは家に帰って、家族とランチをとって、また仕事場に戻るという方が多くいました。わたしも事務所から自転車で10分ほどの場所に住んでいました。職住近接が当たり前なんです。そして、何よりも家族の時間を大切にしたいから、仕事は時間内にしっかりと行うがモチベーションになっているんですね。だから、週休3日でも生産性が落ちないんだと思います。

週休3日が当たり前の国。それを支えるのは実は国民の「家族最優先主義」。そのモチベーションが生産性を支えている、という仕組みが見えてきます。

では、日本の生産性をあげる議論はどうでしょうか。企業の論理ばかりになりがちで、「個人はどういう働き方をしたいのか。何をいちばん大切にして働きたいのか」というのが、根底に見えないので、国の制度改革、企業の制度改革が進んでも、個人のモチベーションにつながらないのではないでしょうか。結局、箱だけ用意しても魂込めず。

個人が制度を使い切れないという事態になりかねないわけで、働き方改革で一人ひとりがもっと「どう生きたいのか、どう働きたいのか」を考える機会が必要があるのではないか、と思っています。仮に家族最優先主義ではないとしたら、日本人がモチベ―トされることは何なのでしょうか。

そんなことをふと思った月曜日の朝でした。