小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

オープンイノベーションを語るひとが、オープンイノベーションできない理由

「オープンイノベーションで、新しいサービスを生み出そう」
「共創(きょうそう)の時代です」

仕事の関係上、よくオープンイノベーションを語る「新規事業開発の方」にお会いします。しかし「オープンイノベーション」という言葉を使う方ほど、実は越境による新しいサービス開発ができていない、というのがわたしの実感値です。いきなりイノベーションが生まれるわけでもないですし、長い目でみなければわかりませんが、新しい新規サービスを生み出す方たちと「オープンイノベーションだ!」と語るだけで終わる方たちで何が異なるのか、というのを書いてみます。

(いちばん感じること)
オープンイノベーションを語る方は、手段が目的化している
個人的にいちばん感じるのは、オープンイノベーションを語る事業開発の方ほど、手段が目的化してしまい、本来の目的にフォーカスできていないと感じています。

オープンイノベーションの文脈でよく語られるのは、「大企業×ベンチャー」による新しい新規事業開発がありますが、先日ベンチャーの方からこんな話を聞きました。

「大企業の方から、いっしょに事業をつくろうって話があるんです。だけど、困ることが多いんですよ」
「どんなことが困るのですか?」
「いちばん困るのが、わたしたちは技術もあります。お金もあります。リソースを自由に使ってOKです。って話です。ベンチャーにリソースを提供するだけで、何も考えない方が多いです。。。。」
「リソースだけ、丸投げしてプランはお願いって話ですね」
「大企業の方にお願いしたいのは、いっしょに事業をつくるということです。いっしょに考えて、考えて、考えて、そうやってぶつかりながら、カタチづくられるものだと思っています。だから、リソースだけ提供しますって話をもらっても、困るんです。サービスをつくるのはあなたの仕事でしょって」

ちょっと脚色していますが、自分がよく聞く話です。オープンイノベーションを語る方ほど、「どんな課題に取り組みたいのか」というそもそも情熱を傾けるものがなく、それ自体すらも他者にゆだねてしまう傾向があります。WHYがないから、結果、HOWだけを語ってしまうパターンです。

一方で取り組みたいことが明確で、WHYがはっきりしている方ほど、オープンイノベーションという言葉は出てきません。「なぜ、その課題に取り組むのか」を語るからです。ー「WHY(なぜ)」がはっきりしていて、境を超えた共創がそのWHYを旗印にカタチづくられているからです。これ自体、狙ってやっているわけではなく結果論としてオープンイノベーションになっています。

大企業で新規事業開発の部署にいます——という方に会うと、個人的に「WHY」に注目して話を聞いています。

しかし、これって逆にチャンスかなとも思ったり。相対的にベンチャーと協業できる素養のある大企業の新規事業開発の方が少ない、ということなので、WHYを猛烈に詰め切り、常々語る癖付けができれば、それだけでチャンスが広がるのではないか、と感じています。

オススメは、このWHYのショートプレゼンを毎回して、他者に採点してもらうこと。相手のどれだけ自分自身の熱意が伝わったのか、を定量化するだけで、何が欠けているのかが分かります。これ、結構やってみると自分の熱量の伝わり方について、自己認知と他者認知の違いがみえてオススメです。

ということで、3連休ですね。
いい天気なので、今日は外出して頭をリラックスさせたいと思います。
では、よい週末を〜!