小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

本当のチームワークを、サッカーから学んでみる。

日本はチームワークがすばらしい、と聞いていたけど、まったく違った——

2000年当初、Jリーグジュビロ磐田で黄金時代をつくった元ブラジル代表キャプテンのドゥンガ選手。当時、Jリーグには現役ブラジル代表が各チームに在籍するなど、外国人選手が日本国内のサッカーレベルを引き上げる大きな牽引役になったと言われています。その当時の中で、個人的に印象的だったエピソードがあります。それが、冒頭で伝えたドゥンガ選手のコメントです。※当時のエピソード記録がないため、文自体は異なる可能性があります。


入団当時、日本はチームワークのいいチームだと聞いていて楽しみにしていた。しかし、そこには、チームワークが存在しなかったというのです。なぜ、そのように思われたのか。

それは「個々が責任を果たしていない」ということでした。

日本のチームの守備は、相手に一人が抜かれても、抜かれた先の人がしっかりと相手からボールを獲るという組織的な守備をしていました。しかし、ここにGAPがありました。海外のサッカーでは、1対1になったら自分がボールを奪うことが義務づけられています。海外サッカーに詳しい方だとご存知だと思いますが、試合中で「1対1の勝率」というのが表示されます。日本のJリーグだとこのような数字はTV放送で見られることはないのですが、海外では当たり前のように表示されます。

自分の責任を果たしてこそ、組織が活かされる。
ジュビロ磐田のサッカー文化を変えたドゥンガ選手のイチエピソードです。

改めて、チームプレーを深掘りしてみると、チームプレーを7つの要素に分解している事例があります。オールド・ドミニオン大学のディキンソン教授とオハイオ大学のマッキンタイア教授の「チームプレーの7つの要素」です。

1.コミュニケーション
2.チームの方向性
3.リーダーシップ
4.モニタリング
5.フィードバック
6.支援
7.相互調整

1.チームワークを支えるのは、コミュニケーション。対話がないとそもそもチームワークは生まれません。相手にどこにパスをだしてもらいたいのか、どう動いてもらいたいのか。意志を伝えることがベースです。

2.チームワークを発揮するためにも、チームの方向性が必要。サッカーでいえば、「リーグの優勝/そのためのチーム戦術」。サッカーでいえば、鹿島がその代表でしょうか。優勝を義務づけられたチームは、チームの目標が明確です。「タイトルを獲る」この1点に集約されます。

3.チームワークには、リーダーシップが必要です。チームを統率するキャプテン。ディフェンスリーダーなど、各役割をリードする者です。リーダーシップはリーダーがあればいいというわけではなく、各々が責任を果たすために発揮すべきものです。

4.モニタリングは、相手の強み、弱み、業務の遂行を理解することです。サッカーでいえば、チームメンバーの役割理解。そして、例えば、○○がボールを持ったら、こう動く、という連携にも通じます。

5.フィードバックは、相手に個々の遂行などについて、伝えること。試合中であってもいいチームというのは、このフィードバックをして、随時修正する力があります。

6.支援は、相手の役割を自分が行うこと。最近のサッカーでは、複数の役割を担うことが必須と言われています。元サッカー日本代表イビチャ・オシム監督が「ポリバレント」という言葉を用いて、話題になりました。複数の役割を担える選手=ユーティリティ・プレイヤーという意味合いで使われています。

7.相互調整は、役割のオーバーラップです。チームワークを発揮する上では、必ず個々の役割ごとにオーバーラップする部分が生まれます。個々の役割が完全に分断された状態では、チームワークは発揮されません。サッカーでいえば、2人、3人目の動きでしょうか。一人目がポジションを移動し、そのポジションにスペースを空けることで、2人、3人目が動きやすく連動できる。こうした連携が生むためにも、相互に調整し合うことが必要になります。

こうして分解してみると、チームワークを発揮できている、できていない、というのがはっきりしてきます。

今日は、サッカーねたから「チームワーク」を考えてみました。いずれにしてもチームの力を発揮するには、「個々の責任」が果たされ、それを支える「コミュニケーション」が必要になるわけで、自分の組織、自分のチームはしっかりとチームワークを発揮できているのか、という指標にしてみると面白いかもしれません。