小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

週休3日の働き方がニュースになる国。当たり前の国。

Yahoo!が週休3日の働き方を検討することが、昨年の9月に話題になりました。対象は、全従業員5,800人です。

this.kiji.is


働き方を変える理由は、「優秀な人材の確保」でした。実際に、多様な働き方を推進する企業には、多様でバラエティに富んだ人材が集まっています。優秀の定義は企業ごとに異なるため、この施策がどの企業にも有効か、というと違います。Yahoo!にとって優秀な人材を集める手段として有効ということでしょう。

さて、話を変えます。
週休3日制が、共同通信によって配信されるのが日本です。一方で海外ではどのような働き方があるのでしょうか。多様な働き方という文脈でよく話が挙がるのが「オランダ」です。そこで、オランダに住む知人にオランダの働き方について、話を聞きました。

結論からいうと、週休3日の労働者が当たり前のようにいる、という話でした。例えば、2、3歳の小さな子どもがいる家庭を挙げてみましょう。父親は、週4日勤務で母親は、週3日勤務という家庭があります。お休みの日はたとえば、父親は水曜日にお休みをとる。母親は、火曜日と木曜日にお休みをとる。そうして、子どもと触れ合える時間を確保しているそうです。とくに水曜日は『Papadag』(=オランダ語で「パパの日」)と呼ばれ、パパが平日に子どもと遊ぶ日として認知されており、周りの方も「今日は、『Papadag』なんだね」と声をかけてくれる、そんな環境なのだそうです。

参考になる記事を見つけたので、下記にリンクを貼ります。

otoyon.com


2000年ごろ、ドイツで働いていたときは、金曜日の午後はお休みでした。なので、週4.5日働くという感覚でしょうか。なので、週休3日の働き方が日本ではニュースになりましたが、海外ではすでに当たり前のように運用されているのです。

さて、ここからが本題。
では、オランダもドイツもなぜ、週休3日制がうまく運用されているのか。オランダの知人に話を聞くと、「何よりも大事なことは家族の時間だから」という話でした。家族との時間が何よりも大切なことで、仕事がそれを阻害するようならば、働き方を変えるというスタンス。ドイツでもそれが当たり前のように浸透していて、私が働いていた事務所のケースでは、昼休みは家に帰って、家族とランチをとって、また仕事場に戻るという方が多くいました。わたしも事務所から自転車で10分ほどの場所に住んでいました。職住近接が当たり前なんです。そして、何よりも家族の時間を大切にしたいから、仕事は時間内にしっかりと行うがモチベーションになっているんですね。だから、週休3日でも生産性が落ちないんだと思います。

週休3日が当たり前の国。それを支えるのは実は国民の「家族最優先主義」。そのモチベーションが生産性を支えている、という仕組みが見えてきます。

では、日本の生産性をあげる議論はどうでしょうか。企業の論理ばかりになりがちで、「個人はどういう働き方をしたいのか。何をいちばん大切にして働きたいのか」というのが、根底に見えないので、国の制度改革、企業の制度改革が進んでも、個人のモチベーションにつながらないのではないでしょうか。結局、箱だけ用意しても魂込めず。

個人が制度を使い切れないという事態になりかねないわけで、働き方改革で一人ひとりがもっと「どう生きたいのか、どう働きたいのか」を考える機会が必要があるのではないか、と思っています。仮に家族最優先主義ではないとしたら、日本人がモチベ―トされることは何なのでしょうか。

そんなことをふと思った月曜日の朝でした。