小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。7月限定版。

相手の内面を引き出す、取材のテクニックについて

メディアの編集を担当していて、もっとも大切なプロセスのひとつが取材。この取材の出来いかんでその記事のクオリティが100にもなるし、10にもなる。だからこそ、この取材のクオリティを上げるということに注力しています。ということで、これもよく聞かれる話題のひとつだったので、よいコンテンツをつくる上での取材テクニックをざっとまとめてみました。

■そもそもなぜ、取材をするのか:
取材は、読者コミュニケーションを支える素材集め。料理に例えると、食べるひと(読者)をイメージして料理の具体的イメージをつくり(企画/構成)、素材(ネタ)を集める。コミュニケーションはあくまでメディアと読者との間にあるのだけど、インタビュイーと読者のコミュニケーションとも捉えています。コメントとかあたかもインタビュイーと読者が対話しているように。

そして、その対話にはメッセージがのります。そのメッセージが読者に刺さるのか、否かは、取材で感情が乗った言葉をもらうことができたのかにかかっています。いい素材をいただければ、よい料理ができるわけです。

■取材時の大きな流れ:
信頼 → 安心(リラックス) → 熱中 → 本音 のサイクルをまわせるか

何度も取材をした方であれば、信頼関係が一定担保されています。一方で初めてだと「彼は、安心して話をすることができる相手なのか」と警戒されています。だからこそ、まずは信頼できるインタビュアーだと思ってもらうことが大事です。では、どうその場を整えるのかを書き出してみます。

1)何を目的としたメディアで、どんな人が読者なのかを伝える
…メディアの大テーマと、読者層(年齢、職域、男女比など)を伝える。メディアの趣旨に賛同できる、というだけでもグッと距離が縮まります。

2)なぜ、今回取材を申し込んだのか、背景を伝える
…インタビュイーに取材対象とした必然性を伝える。なぜ、あなたなのか、が伝わるだけで、「自分のことをよく調べているな」と思われ、インタビューに入る雰囲気をつくることができます。

3)取材時間の確認を行う
…「○○時○○分までの90分でよろしかったでしょうか?この直後のご予定などございますでしょうか?」と、相手のスケジュールを確認する。配慮をすることで、安心してお話をいただける状況をつくることができます。

逆にインタビューに入る前に、上記のような配慮なしに一方的に取材に入るとインタビュイーに警戒されてしまい、本音を語ることなく時間が過ぎることになります。実は、この入りで取材の成功が大きく左右されることになります。

■安心を生む質問を投げかける:
1)最初は、事実ベースの問いを投げかける:
インタビューでは、まず相手が話しやすい場をつくることが大事です。そのため、まずは「事実ベース」で答えられる問いを投げます。例えば「いまのお仕事は?」「どんなお仕事をされてきたのか?」など。プロフィールを見ればわかるような内容であっても、まずは相手が話しやすい「事実ベース」から話をスタートさせることが場を和ませ、リラックスさせることにつながります。

2)対話を楽しむ:
質問は、事前に決めてきたことではなく、相手の会話を基に質問することです。事実ベースで安心のベースが整ったら、徐々に相手が熱中するポイントを引き出していきます。ここでは、事前に想定していた仮説をぶつけにいくことになります。うまくハマれば対話が熱中してくるはず。

ここでの失敗パターンは決めてきた質問項目に対して、一問一答になるパターン。これだと対話が白熱し、熱がこもることがなくなるので、感情がのったメッセージを拾うことができません。

■本音を引き出す質問テクニック:
1)沈黙を大切にする
準備してきた取材であれば、深掘りする決めの質問をいくつか用意しているはずです。徐々に対話が白熱したところで、その質問を投げかける。おそらく思考に入り、じっくり考える時が出てきます。そこで、じっくりと時間を掛けること。わたしの場合は、この沈黙の時間では絶対に相手が話を始めるまで声を出すことをしません。なぜならば、安心の場でインタビュイーが内にある気持ちと対話を始めた時間だから。ここで絞り出された言葉が、実は強烈なメッセージになります。

2)同じ質問を繰り返す
上記の深掘りする決めの質問がありますが、あえて、取材終了間際に「今日のお話の中で重複するかもしれませんが、」と前置きを置いた上で、同じ質問をします。話の流れの中で語ることと、全部話を終えた上で、同様の質問を投げると実は思考モードが変わっていて、より気持ちがのったメッセージをいただくことができます。また、記事に書くときに2度した質問の情報を得ることで、記事内でいちばん盛り上げたいところの情報に厚みを持たせることができます。

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ということで相手の内面を引き出す、取材のテクニックをざっと挙げてみました。その中でわたしがいちばん意識するのは、「三方よし」の関係をつくること。インタビュイー、読者、インタビュアーすべてがよかったと思える取材です。インタビュイーのメリットはその取材を通して新しい「気づき」を得られること。それを提供価値としています。だからこそ、先ほど紹介した問いに対する「間」を大事にしています。ライターの中には、この沈黙が恐怖という方もいます。逆です。沈黙は、ポジティブです。

最後に取材の締め方について:
取材で話をした後の確認事項をしっかりと。スケジュールを伝える。広報と確認者の都合を聞く(イベント、プレスリリース、海外出張など確認しにくい期間がないかを事前確認する)、(広報が同席している場合)当日の取材時にNGとなるストーリーを先に確認。また、私がよくやる手ですが、もっとより良い記事にするために「追記」の可否を確認します。これによって、構成上、どうしても具体的ストーリーなどを挙げたい部分に無理なく打診をすることができます。

ということで、ざっと自分が抑えている取材のポイントを挙げてみました。ほかにもよい取材のポイントがある方は、ぜひコメント、メッセなどお寄せください。ではでは。