小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

取材先選定をどう決めるのか、をまとめてみた

編集視点で、旬な情報を取得する方法から取材のちょっとしたTIPSを紹介したところ、多くの反響をいただきました。ありがとうございます。

chibiblog.hatenablog.com


一方で情報収集や取材の話をしていたところ、知人から「取材先選定をどのようにしているのか、も聞いてみたい」という要望をいただきました。ありがたい話です。「企業秘密なのでは?」という話もありましたがそんな大層なものでもないので、こちらもざくっとまとめて公開しました。あくまで、自メディアの取材先を決める軸なので、参考程度でみてください。

■取材先を選定する上で、大切にすべきこと
まずは、取材先を選定する上で大切なことがあります。

1)メディアのテーマに沿った取材先であること
メディアを継続させていく上で「メッセージ」の一貫性は大事です。よくやりがちなのが、有名人でBuzzりそうだから、選定したというパターン。そこに必然性はありません。

2)信頼できる人であること
本を出版しているなど、世の中に一定の知名度をお持ちの方はいますが、実は同業界で評判が悪い人もいます。その悪評を知らずにメディアで取り上げると「あっ、このひとを取り上げてしまうのか、、、残念」と、発信する情報の信頼度を下げてしまうことになります。そうしたリスク対策として、同業界に詳しいかつ信頼できるひとに確認することも大事です。

3)今回の企画趣旨のテーマへの必然性があること
1)や取材のテクニックの記事にも書きましたが、なぜ、その取材先なのかという必然性があること。逆に、そのテーマならば、もっと読者の共感を得るひとがいるという話であれば、まずは候補に挙げてみることが大切です。


上記の3つはMUST事項です。では、1)、2)、3)を判断する材料をどう取得しているのかというと、ブログや日頃のFacebookの投稿などです。こうした生の声を判断材料とします。また、人や業界に詳しい方がネットワーク(人脈)にいれば、率直にその方の評判に関するヒアリングをします。なぜ、そこまでするのかといえば、読者の「信頼」を裏切らないようにするためです。

■「有名人(インフルエンサー)」ではなく「良き応援者がたくさんいる人」
取材先の選定として、もうひとつ大事な要素があります。それは「デリバリーの能力」です。デリバリーとは、FacebookTwitter、インスタなどに代表されるSNSの拡散になります。なぜ、大事なのかというとできた記事がいくらよい内容であっても、SNSを代表とする記事のデリバリーを抑えない限り、読者の手元に広く届けることはできません。

ありがちなのが、「有名人(インフルエンサー)」を取り上げれるというのがわかりやすいのですが、オウンドメディアという弱い立場の場合、大手メディアに露出で叶うことはできません。またインフルエンサー ≒ 大手メディアに露出したことがある人というケースがほとんどです。この場合、既存の記事と内容が重複することが多いため、二番煎じとなりやすく、話題となるコンテンツになりにくくなります。

では、どうするのか。

大事な視点は、有名人ではなく、「良き応援者がいる人」を取りあげるということです。インタビュイー自身ではなく、インタビュイーを囲む人たちです。「○○○さん、いつも応援しています!」「そのサービス、いいね!応援しているよ」といつも声をかけている人たち。この方々がどんなひとで、普段どんな言動をしているのか、というのをチェックしています。この囲むひとたちをLinkedinなどに習い、1次ネットワークとします。この1次ネットワークが上記の3つを満たし、インタビュイーの周りの方も共感するスイッチを押せるのであれば、デリバリーの経路はすでにできているものと同じです。

ちなみに、インタビュイーと囲む人(応援者)の場合、どちらが拡散にとって重要かというと、囲む人(応援者)の方です。実はインタビュイーが有名でなくても、応援者のデリバリー力が強ければ、SNSでコンテンツを流通させることができます。よくあるのが、まだ露出が少ないベンチャーの経営者(インタビュイー)と応援する人(著名なVCの方やベンチャー経営者)というパターンです。

逆にインタビュイーが有名で、囲む人はデリバリー能力がない、というパターンもあります。例えば、有名な学生ですね。インタビュイーはインフルエンサーであるが、まわりの学生はふつうの学生。この場合は流通経路が細くなるので、インタビュイーがいくら有名であっても、1次情報の先にコンテンツが流れることはありません。

結論、デリバリー経路の設計を組み立てられる、というのも小さなメディアでは大切な視点になります。ひと昔前はKLOUTスコアなるものがあって、簡単にインフルエンス力を定量化するツールがあったので、この定量数値を見ながら、取材先を決めたという経験からいまの軸ができたという背景もあります。

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いかがでしたでしょうか。

コンテンツをリリースして、取材先のインタビュイーのメッセージが世に出て、応援者がそれを支援し、読者はそのメッセージに共感したり、気持ちを揺さぶられたり。ときにはSNSで議論が勃発して、より観点の深掘りができたり。そうした場をプロデュースできるイメージがつく、というのが最終的な選定のポイントになる気がします。

もちろん、各メディアごとに読者層もインタビュー先も異なるため、参考になるかは分かりませんが、もしひとつでも得られるものがあったというようならば、うれしいです。また要望がありましたら、それに合わせて記事を書いてみようと思います。ではではー。