小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

仕事をつまらないものにするひと、面白いものにするひとの違いについて

同じ業務をしていても、仕事を楽しそうにするひとと、つまらなそうに仕事をしているひとがいます。当然、仕事を楽しそうにするひとの方がいい成果を挙げることが多いし、ストレスも感じない。まわりも明るくなる。

だけど、つまらなそうに仕事をするひとは生産性が低く、仕事が苦痛でしかなくなる。どうして、同じ仕事なのにも関わらず、ひとによって差がでてしまうのか。

そのひとによる素養というものもあるのかもしれないけど、それよりももっと大事なことがあることを以前、ある組織から教わりました。もう10年以上も前の体験だったけど、この体験が大いなる財産になっているので、今日はその話をまとめてみます。

ここで紹介する仕事とは、「校正」です。
石原さとみさん主演の水10ドラマ「地味にスゴイ!」がちょうど放映されているので、見ている方はなんとなくですが、その仕事イメージがつくと思います。
※実際の校正・校閲とだいぶ違うと批判もあるようですが、業界・規模によっても違うので、ここでは割愛

あがってくる原稿に対して、「トル」「ツメ」といった感じに赤字を入れる。編集・制作の現場からすると楽しい仕事か、つまらない仕事かでいえば、後者に入る仕事です。最低でも楽しくする仕事ではないと思います。

当時、自分が所属していた企業では、専門の校正Gを置かずに各々が校正を責任をもって行うことが基本とされていました。そして、大所帯だったので一次品質・二次品質を保つために、「不備率」の目標を定め、組織品質を高めようと尽力していました。

当時、この不備率、具体的な数字を出すことはできないのですが、「ほんとにできるのか?」と思えるほど、高い目標設定でした。しかし、これがあるアクションを起こしたあと、なんと達成してしまったのです。

当時、全国の制作グループが注目し、視察にきたほどです。
しかし、やっていることはどうということではなかったんです。

では、何をしたのか。

それは、「校正をゲーム化してしまった」んです。

仕組みはこうです。

できあがった原稿のチェックをWチェックするために同僚の制作に御願いするのが基本なんですが、本来はただただ業務が増えるだけなので、ポジティブに受けてはもらえません。

工夫したのは、ここです。

「不備を見つけたひと」にポイントを与える仕組みを導入したんです。不備を見つければ、ポイントが増えるということで、積極的にひとの原稿をみて、ポイントをゲットしようとするひとが表れていきました。ポイントは、自分のポイントシートにシールを貼って、貯める方式。ポイントをより多く獲得すれば、月末の表彰の景品のランクがあがります。そんな仕掛けで、日に日にモチベーションが高くなっていきました。

なんか、表彰の景品がよかったんじゃないの?という声が聞かれそうですが、
ここでいう表彰の景品は、なんと「ケーキ」でした(笑

上長のおごりで、ポイント数ごとにケーキのランクが分けられ、ポイントをたくさんとれば、ケーキのレベルがあがるという仕組みでした。当初、編集・制作の部門では女性が多く在籍していたため、この効果は抜群でした。こぞって、不備を見つけにいくわけです。

話を聞いてしまうとなんてことない話なんですが、これに全国の視察する方々は驚いていました。こんな施策で、組織の生産性がまったく変わってしまうんだと。

ここから、学んだことがあります。

1.生産性をあげる上で、もっとも大事なのはモチベーション
校正の精度をあげ、生産性を高める上でもっとも大事なものはモチベーションだと気づかされました。ここでは詳しく書きませんが、とある事件をきっかけにこのモチベーションが減退し、まったく逆の現象が起きたこともあります。

2.ゲーム化をするには、本気度が大事
いわゆるゲーミフィケーションの取り組みといえるのですが、ここで大事なことは「ゲームを本気のものにする」仕掛けが大事ということです。雰囲気をつくるために、このキャンペーンのポスターを市販並のクオリティで制作したり、ポイントを貯めるシールなどを作り込んだり、ゲームを本気のものに変える環境づくりがゲーム化に際してもっとも大事なことのひとつだと学びました。

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仕事を面白くするひとは、うまくゲーム化するのがうまいなとつくづく思います。〆切効果も一種のゲーム化で自分自身で勝手にゴールを決めて、できる、できないを楽しんでいます。

前職の話ですがこの会社、とにかくこうしたつまらないことを面白いものに変えてしまい、生産性をあげることが抜群にうまい会社でした。個に頼らず、組織全体でつまらない仕事を面白いものに変えてしまうんです。

つまらない仕事は誰にだってあります。

だけど、ゲーム化する手法をしっている人は何事も面白くし、生産性をあげられます。では、どうやったらこの「ゲーム化」がうまくなれるのか。

ゲーム化がうまいひと、、、、、って考えると、思い当たるのは子どもです。

子どもってほんとうに天才だと思うんです。また、そんな手法を編み出した!って。子どもとふれあっていると、何事も工夫でなんとかしてしまうわけで、週末はその天才を観察して、何事も楽しくしてしまうコツを学びとってやろうと思います。

お後がよろしいようで(笑

では、よい週末を。