小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

日本の営業マンは、人工知能に代替されるのか、されないのか。

2月2日、Sansan社が主催する「働き方改革」をテーマにしたカンファレンスに参加してきました。2016年も伺っていて充実した内容だったので、今年も楽しみにしていました。

jp.sansan.com


結果は、大満足。「働き方改革」の最前線の一端を学ぶことができ、自分が日々の取材や情報収集だけではない視点が得られたのは財産となりました。改めて、このイベントに従事されていた皆様に感謝申し上げます。

さて、書きたいことはたくさんあれど、今日のブログの表題にも掲げている「人工知能と働き方」というテーマが刺さりました。なぜ、刺さったかというとここに働き方を阻害する根っこの一端を見ることができたからです。

内容は「人工知能によって、ひとの仕事は代替されるのか」
そして、ここで挙げられた表が興味深い内容だったんです。

日本のビジネスパーソンへのアンケートで、
「もっとも人工知能に代替されにくい職業は、営業」でした。

一方で並べられていた表は、オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授の研究結果でした。そこには「人工知能に代替されやすい職業:4位 セールスマン」とあったのです。

この違いについて、同テーマのパネラーである「厚切りジェイソン」さんはこう言いました。「欧米のセールスマンに比して日本のセールスマンは、非合理。そこに価値があると思っている。その非合理部分が代替されないと思っているのではないか」※一字一句合っているわけではないので、そこはご了承を。

的を射ている発言。セールスのプロセスでいえば、

「課題を抱えるお客さまをみつけ」
「課題の解決となる自社の製品を紹介し」
「お客さまに決裁していただく」

で、整理すると確かに代替される可能性が高そうな気がします。

「顧客を見つける」…顧客データもしくはネットの情報から対象企業を割り出し、順位付けするのは可能
「自社製品を紹介する」…製品を紹介するのはパターンなので代替しやすい。個別課題については、対話で十分対応可能。
「決裁していただく」 …唯一、決めてもらう、というのは合理的判断だけでは済まないところがあるので、ここだけ残るのでは?

大事なことは、「日本の」という点です。

合理的な決裁をするお客さまとセールスマンにおいて、人工知能で代替可能になるでしょう。一方で、営業の訪問を好んだりする非合理なお客さまと付き合うセールスマンというものから、人工知能の代替可否に文化背景が色濃く出ている気がしました。以前、とある著名なTOPセールスマンの方にインタビューしたことがあるのですが、理路整然と話をし、納得いただけるものだったと思っていましたが、お客さまは契約しなかったそうです。そして、お客さまはこういったそうです。『あなたのいうことは正しいかもしれない。だけど、あなたからは買いたくない』」——「製品を買う」ではなく、そこに人があることが日本独特のものであり、こうしたビジネス習慣や文化そのものがTECH浸透かつ生産性の妨げになっている事を改めて認識しました。

ほか、米国の経営では合理的判断で、セールスマンを人工知能に置き換えると決断した場合、セールスマンは異動かリストラとなります。一方、日本は解雇規制が強く、簡単にはリストラできません。その人たちの雇用を守る前提の決断となり、判断が鈍くなる可能性も否定できません。

ということで、「日本の営業マンは、人工知能に代替されるのか」というパネルディスカッションのひとつのテーマだけでもこれだけ考えることが多かったので、その気づきを一つひとつ考察し、アウトプットしていきたいと思います。

(余談)

この登壇で知ったのですが、「厚切りジェイソン」さんは、イリノイ大の人工知能の修士だったんですね。元GEのプログラマで、現テラスカイ社の役員という理系文脈の方だというのは存じていたのですが、まさか人工知能の研究もされていたというのは知りませんでした。。。。それだけに今回の登壇コメントもするどい発言が多々。いや〜、勉強になりました。