小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

コミュニケーション手段が多様化する時代の在り方を考える

最近、わたしの周りでは、こんな記事が話題になっていました。

www3.nhk.or.jp

主題は「固定電話の必要性の有無」について。記事の概要は以下のとおり

・IT企業を中心に、固定電話を置かない企業が増加中
・固定電話を置かない企業の主要チャネルは、チャットやSNS
・企業によって代表電の受け取り先はアウトソース先。必要なもののみ社内共有
・一方で、あえて固定電話を置く企業もあり
・コミュニケーションの手段も多様化して、上手に使い分けることが必要

話題になった背景は、大半の意見は「電話はいらない」というもの。実際に社内外のコミュニケーション手段はツールの種類も含めて多様化が進んでいます。中でもビジネスSNSやチャットツールの伸長は凄まじく、記事内で紹介されているチャットワークは、ここ3年で利用企業数が3倍以上に増加。さらに転職サイトの求人に目を通すと応募資格の欄に「ビジネスチャットの利用経験」といった内容を記載する企業も出てきています。

では、ここであえて課題に挙げたいと思います。それは、「最適なコミュニケーション」とは何か、ということです。というのは、この「電話いらない」論調には違和感を覚えることが多い為です。

なぜ、違和感を感じてしまうのか。

理由は目的の達成と時間の効率化を果たせれば、チャネルはその手段でしかないから。それなのに長短の理解を棚に上げて、白黒をつけたい声が多いことにどうしても違和感を感じてしまいます。例えば、コミュニケーションをとる必要があるのは、ほぼ「ホウレンソウ」に集約されるのではないでしょうか。そして、報告、連絡、相談の目的を果たすことができ、そのコミュニケーションに関わる人物の仕事の効率を妨げなければ、手段は都度選択すればいい、と個人的には思っています。

しかし、実はここには課題があります。

それは、ビジネスSNSやチャットなど、新興コミュニケーション手段には一定のスキルと経験が必要ということ。また、ビジネスSNSならではのコミュニケーションがあり、双方のコミュニケーションの理解度をそろえる必要もあります。慣れといえるかもしれません。例えば、クライアントからの技術的な質問のケースを想定します。問い合わせがあった際に、ビジネスSNSやチャットがあれば、素早く知識ある人に問い合わせて、「これが参考になるのではないか?」と記事のURLをクライアントに2、3送るだけで必要なやりとりは完結するかもしれません。必要あれば、別途詳細を調べて送るだけ。一度に完璧に返答する必要はなく、必要最低限の情報をスピーディにやりとりし、情報を積み上げていくコミュニケーションになります。またFacebookのようなメッセンジャーを活用する際には、いいね!ボタンで完結するかもしれません。その方がクライアントにとっても誠実なケースも。電話文化に慣れすぎていると、上記のコミュニケーションは軽く、違和感を感じるかもしれません。

コミュニケーション手段の多様化により、中身自体にも変化が起きています。そして、そのコミュニケーションの理解度を深める必要性があります。いまはそうしたコミュニケーション理解を深める過渡期なのかもしれません。

ただ、コミュニケーションのいちばんの根底にあるのは、「誠実な対応」と信頼ではないか。まずはお互いのコミュニケーションのプロトコルをそろえることに尽力し、最適なコミュニケーションを都度選択できること。より良いコミュニケーションの在り方をそれぞれの環境で模索し続けることがこの過渡期に必要なのではないか、とふと思いました。

(余談)
ちなみにわたしは電話をほぼ使用しません。コミュニケーション手段はビジネスSNSが中心で、チャットでほぼ解決。外部パートナーとの意見交換やMTGなどは、あえて電話(Skypeなど)で実施することもありますが、必ず始めと終わりの時間を決めて実施しています。話をしたいからと唐突に相手に電話をすることもありませんし、逆に唐突に内線を受けることもしません。時間は有限。なるべくスピーディに目的を達成するコミュニケーションがどうあるべきかは、考える必要があると思っています。