小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

ネットメディアが溢れる中で、どう戦うのか

録画していた食の人気雑誌「dancyu」の新編集長の回を見ました。驚きなのは、雑誌が売れなくなる中で、ここ5年で「14%」も発行部数が伸びていること。なぜ、雑誌が売れない時代に、売れる雑誌をつくることができるのか。雑誌編集長 植野さんの仕事術から考えてみました。

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番組を見て思うこと。それは、読者が知りたいことを理解している。そして、そのためのアクションをしているということ。当たり前に思えるけど、実はこれがなかなかできない。読者が知りたいことを情報発信しているので、結果、「食ならdancyu」と思ってもらえることにつながる。ブランドなのだ、読者との約束なのだ、そのためのスタンスなのだ、と感じた。ということで、そうなるための切り口を自分なりにまとめました。

1)情報収集術
中でも興味を引いたのが、「情報収集術」。dancyuを支え、料理人などプロも知りたいと思わせる情報はどこから取得されるのか。

ヒントは「一流に聞く」「活きた情報」。

いちばんは、食の集積地:築地市場に話を聞きにいく。足で情報は稼ぐというけど、結局は一流に聞くのが早い。植野さんいわく、一流が「ここ、すごい美味しいんですよ〜!!」と、熱量が伴っている情報は、只の情報ではないとのこと。

あとは、つながり。番組に登場したのは、アンジャッシュ渡部さん。仕事を通じて定期的に話をするそう。仕事を通じて仲良くなった方々と定期的に情報交換することでトレンドと読者視点をアップデートしていく。

2)早期の信頼構築:
取材を情報収集の場、と捉えることもできるけど、一方で「信頼構築」の場ともとれる。植野さんの取材では、めもしたのは営業時間だけ。相手の目を見て、話す。血の通った対話から、相手との信頼が生まれる。信頼が生まれるから、自然と雑誌に踊る言葉が対話のなかから見つかってくる。植野さんは、あえて現場でめもしないそう。対話を楽しむことも理由だけど、社に戻ってふと出てくる言葉がインパクトある言葉になることが多いそう。現場で踊った言葉と熱量がわかるから、キレのある編集ができる。

3)粘り強さ:
当然、取材拒否の店舗もある。しかし、いちど、取材を断られても、諦めない。このひとが出るメディア、この店が出るメディアというのが読者の期待でもある。簡単には引き下がらない。

4)表現に妥協しない
インスタなど、素人が写真を獲る時代。その差は本当のプロとアマの差をつけることに他ならない。だからこそ、雑誌の命ともいうべき、写真には妥協を許さない。料理の写真では、ひとの手を伸ばしたくなるもの、シズル感が大事。仮に自分の仕事でいえば、楽しそう、苦しそう、感情のエピソードに重みをつけることか。

5)仕事を楽しんでいる。
月にいちど、仕事まわりも含めてお店にひとを集めて料理を振る舞っている。いちばんは、食が好き。料理が好き。努力しても、好きには勝てない。

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メディアの編集長の話って実に面白い。改めて、編集者の番組を集めて、見まくる日をつくってみようかな。さてここからは上記を受けての自分の振り返り。

1)は足で稼ぐことは自分も特に意識しています。一流のビジネスパーソンには一流の話が集まる。この収集されるコミュニティにいるか、いないかが大きな差になります。編集者として、コミュニティに参加させていただく権利取得はまず第一歩。

2)早期の信頼構築については、対話を楽しむことは常に意識しています。また取材は相手のプロフィールから過去記事などを読み込み、下準備は当たり前にする。ベースがあるだけで、相手の信頼も違うし、引き出すポイントの仮説も出せる。何よりも楽しい会話には、相手を知っていることが大前提。

3)粘り強さ:
当然、メディア運営していると断りもある。ここの粘りはまだまだ。いつかあの人に取材で了承を得たい、という方はたくさんいるので、粘り強く企画をぶつけたい。

4)表現に妥協しない、というのもそうだけど、個人的にはもっとパートナー含めた「振り返り」の精度をあげたい。より良いものをつくりたい、というモチベーション管理が肝。

5)仕事、むちゃくちゃ楽しんでます。表現者としては、当たり前。

ということで、ネットメディアが溢れる中で勝ち続けるには、一流のコミュニティを形成し、顧客が求める情報を発信しつづけ、期待に応え続けるのみ。シンプルに人がしらなことを提供し、ひとに教えたくなる情報こそがいちばんなのだ。以前、情報を追いかけるのではなく、人を追いかけるのだ、と投稿したけど、その方法に対して自信がつきました。

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ではでは。