小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

「RPA導入は職員削減を目指すものではない」の違和感について

mainichi.jp

毎日新聞つくば市がRPAを導入。ロボットによる単純作業の導入で職員の作業を8割削減したというお話がありました。具体的には、住民税を源泉徴収する事業所のデータの仕分け作業。約450件、170時間かけていたものを、約4時間に短縮したとあります。6業務に適応した場合、約511時間から約102時間へと、作業時間を約8割を減らせる見通しだそうです。8割削減のインパクトは大きいと思いつつ、年間511時間を102時間に削減するインパクトは職員2、3人程度の話しでまだまだ小さい話しですよね。記事にも書いていますが、まだごく一部のテストでしかないようなので、本格導入がスタートすれば、このインパクトは数十倍になるのではないかと思います。

さてRPAによって、労働時間が削減する良いニュースではあるのですが、ちょっと気になるところがあります。それが、この五十嵐立青市長のコメント。

「単純で定型的な作業に割いていた時間を丁寧な窓口業務にあてるなど、行政サービスの質向上が期待できる。職員削減を目指すものではない」

というんですね。筋は通っています。しかし、住民が本当に期待することは窓口業務の改善でしょうか? 窓口業務のひとが増えることはプラスに見えますが、住民が期待することは削減したお金をどこに分配したらもっと利便性があがるのか、住む環境がよくなるのか、ということです。このコメントは明らかに「職員の雇用を守る」前提で語られていますが、住民としては無駄な人件費を削減して、新しいことにもっと投資してほしい、というのが本音ではないでしょうか。人件費の予算の割合って大きいですからね。テストケースだけでも時給換算して、数十万円。本格導入すれば、少なく見積もっても数千万〜数億円の削減効果があるはずです。

そうなると今後、行政におけるRPAが進むと過剰な雇用を保持する行政と、より良い住民サービスを期待する住民たちとの意識のギャップが生まれてきそうな気がします。

最近、知人がエストニアに視察するケースが多々あり、お話を聞くことに恵まれているのですが、その際に話しをするのは、「組織が小さい。だから物事を進めるのが早い」という話しです。エストニアでは、雇用が100名を超えると大企業という感覚で、行政についても同様だそうです。

RPAがもたらすものは組織のスリム化と人の流動化です。この流れが促進するときに何が課題となっていくのか。個人的にももっと深掘りしていきたいと思います。