小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。7月限定版。

変えるということは、変えないことを見定めること

昨日、Facebookのタイムラインにこの記事のシェアが流れてきました。


話は、円柱と角柱を12時間描きつづけて気づいたこと。学びの多い記事なので、この記事をご覧になっている方にはぜひ、一読を薦めたいと思っています。

さて、ここからが本題。

私もこの記事を拝読して、ひっかかったことが多々ありました。その中のひとつがここ。

「形は一カ所だけ直しても意味がないんです。何かがおかしいなと思うときは、たいてい全体がどこか違っています。違っている場所をすべて、少しづつ修正する。それが基本です」


デッサンを続けて、すでに完成と思っているひとたちに対して、デッサンの先生が立てた問いです。1カ所違うときは、たいてい全体が違う。そして修正をし続けて10時間たっても、先生はいう。

「早すぎる」

早すぎるとは、手をつけることが早いということ。結果、じっくりと対象物を見つづけ、徹底的に向き合うことが重要だと気づかされた、といいます。

あれ?
これって何か仕事やプロジェクトでも同じことがいえそうだな。
そして、ふとこんな話がリンクしました。

それが「時差BIZ」です。時差BIZって何?という方に先にお伝えすると通勤時間をずらして、朝ラッシュを軽減。生産性を向上させよう!という働き方改革の施策として東京都が推進している大規模プロモーションです。都内近辺に勤務されている方はご覧になったかと思いますが、ちょっと?なプロモーションが都内の駅構内などで大規模に展開されています。

 

 

「生産性の向上」という点はこのテーマひとつで記事が何本も書けるものになるので端折りますが、個人の働き方をより良いものにするために、時差BIZを始めよう、という点にはどうしても違和感を感じてしまいます。それは前段のとおり、通勤ラッシュの回避は部分最適であって、全体をどう捉えるのか、という視点が欠けているからです。

デッサンの話に戻すと、デッサンで難しいのは個々で違和感を感じたことを直し続けても、よりよいものにならないことにあります。全体が歪んでいるとき、

この線はもっと角度をつけた方がいい
この線はもっと長い
陰影はもっと濃い
あれ?2mmずれている

こんな調子で直し続けることになります。でも、これを続けても調和のとれた絵にならないんです。では、何が重要になるのか。

ひとつは、よーく対象を観察することです。

個別の違和感を捉えるのではなく、まずは全体をしっかりと捉えるんです。デッサン経験のある方ならご存知だと思いますがデッサンの上手なひとは、いきなり決められた外観の線をバシッと書いたりしません。陰影を落としていき、徐々に徐々に陰影が深くなり、画面に浮き出ていくような書き方をします。それは全体をよく観察し、少しずつ少しずつ修正しながら、書き足していく感覚に近いです。

そして、ここが大事。
二つ目は、直さないところを決めることです。

まずは絶対に直さないという軸を決め、その視点から歪みや違和感を修正していきます。この軸がないと、個別の歪みを最適化しようとして、永遠に歪みが歪みを生むドツボにはまります。違和感を感じ、変えたいのであれば、まずは「変えないことを見定める」ことが最初のスタートになるんです。

ふと思い返すと、仕事でもいっしょのことが言えるのではないでしょうか。
先般、話題になっている働き方改革の文脈もいっしょです。

まずは、朝の通勤ラッシュを避けて、快適な朝を。そして、生産性をアップしよう、というお題は素敵なんですけど、「満員電車がストレスで、生産性を損なう行為」という点だけにフォーカスしていては、改善はありません。むしろ別の歪みが発生してしまうのではないでしょうか。

それよりも大事なことは、まず組織として、会社として、どういう働き方をしたいのか、という軸をつくること。そして、絶対に変えないことを軸にしながら、どこに歪みがあるのか、を少しずつ少しずつ改善していくこと。

改めて、デッサンの先生の問いを考えます。

「早すぎる」

働き方改革も同様です。

「早すぎる」

すぐに流行に乗って手をつけるのではなく、会社や組織の在り方に対してじっくり向き合うこと。考えること。気づくこと。答えを強制されるのではなく、自ら気づいて行動することに価値を置くべきではないか。

なんてことをふと思ったのでした。

最後に先日、書いたこの記事も実は同じ文脈だったりします。

chibiblog.hatenablog.com

雑談が組織のコアバリューを育むのであれば、変えてはいけないのです。

変えたいのであれば、まずは変えないことを決めること。
そこがスタートラインではないでしょうか。