小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

正解は、いつも正解とは限らないという話

わたしは、ドキュメントや人の仕事の話が大好きです。古くでいうと、NHKで放映されている「プロフェッショナル 仕事の流儀」は録画やDVDで繰り返し見ていました。ほんとうに飽きないのか、と思えるぐらい何度も何度も見る。時々の状況、感情、悩みによって、引っかかるメッセージが違うし、勇気づけられたし。繰り返しみることで、様々な気づきを与えてくれました。

さて前置きが長くなりましたが、今日紹介するのは最近、繰り返し見ている動画の話です。それがこちらです。

www.nhk.or.jp


「奇跡のレッスン」という番組です。

フットサル日本代表アジアカップ2連覇に導くなど、世界を舞台に活躍するカリスマ監督・ミゲル・ロドリゴさんが、東京・文京区の強くも弱くもない、ふつうの小学生のサッカーチームを1週間指導するという内容です。結論からいうと、たった1週間で子どもたちの表情が見違えるほど変化し、イキイキとプレーしだすんです。番組なので、一定の編集がかかっていると想像するものの、その表情には偽りはないんだろうなぁと感じます。

この番組で、ミゲルさんが指摘していることがあります。

「子どもたちが、考えていない」
「ミスをしてもいい。でも、そこから学ぼう」

なぜ、この練習をやるのか、を考えていない子どもたち。コーチが考えた練習メニューをこなすだけに留まり、機械的になぞらえて動くだけ。相手のプレッシャーもないメニューが続くので試合になるとメンタルが弱く、相手のプレッシャーによって自分のプレーができなくなるという欠点が浮き彫りにされます。

また、「ゴール近くでは、真ん中にボールを出すな」「安全第一」とコーチが繰り返し指導します。一方で、ミゲルさんが言います。「スペインでは逆なんだよね。中央からつなげって言うんだ。リスクを避けたい気持ちはわかります。しかし、リスクのないところから学べるものはないのです」。

ミゲルさんがいう日本でよく行われている上記の練習方法。しかし、正しいとされているこの練習方法が決して正しいとは限らない。大事なことは、子どもたちが自分で考え、チャレンジすること。そして、学ぶこと。そのための心を鍛えるというのがテーマとなります。

最初のレッスンでいうミゲルさんのメッセージ:

「早く考えること」
「心と身体を同時に温めるトレーニングをしよう」

テーマは、「楽しみながら、頭を鍛える」

子どもたちの頭を刺激する練習メニュー。頭を鍛えることが目的だから、慣れるとすぐにメニューを変えます。子供たちが言います。難しい。今までにない感覚。周りを見ないといけないし、たくさん考えないといけない。

そして、1時間30分の練習後にこう子どもたちに伝えます。

大事なことは、「早く考えること」
「2秒先に未来が見えるマシンをつくろう」

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ここから、毎日の練習メニューと意図が紹介され、さらに子どもたちの家族とのコミュニケーションにもフォーカスされていき、子どもだけでなく、親も変わるストーリーが描かれています。もう学びがたくさんありすぎるこの動画ですが、個人的にミゲルさんのこの言葉がいまは印象に残っています。

「ある選手のことを思い出します。チャンスでシュートを打ったら、パスだろー!ってコーチに怒られ、次にパスをするとシュートだろーって怒られた。その子は自分から積極的なプレーをしなくなりました。大人の責任は大きい。まずは子どもの判断を尊重し、失敗を見つけても後で指摘すればいいのです」。

ーー子どもの判断を尊重する
ーーミスはあとから指摘して、学びとすればいい

自分が正しいという考えが、子どもの積極性や好奇心を削ぐことにつながっていないだろうか。そしてその判断は、ミゲルさんが掲げた課題とテーマのようにきちんと根底にあるテーマに紐づいたものであるのか。単なる感情の指摘になっていないか。そんな風に考えさせられます。

自分の正解が、常に正解とは限らない。
まずは、子どもの想いを伸ばす。

あ〜、これ。
まったく社会人でも同様のことが言えるよな、と。
子どもの教育だけでなく、マネジメントもまったくいっしょだな、と。

この動画、まだまだ深掘りして言えることが多々あるので、今度、機会をつくってブログにまとめてみようと思います。

ではでは。