「モデル就業規則」は何が変わったのか、をまとめてみた。
今更の話しですが、最近副業や兼業の話題が盛り上がってきていたので、その働き方に大いに関わる「モデル就業規則」について、調べてみました。
先に「モデル就業規則」というものをご存知ない方のために補足すると、「モデル就業規則」は、会社が就業規則を作成する際に参考とする「教科書」のようなもの。常時10名以上の従業員を持つ会社は、就業規則を所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないため、この「モデル就業規則」を参考に各会社が就業規則をつくっています。実はこの「モデル就業規則」が、2018年1月に「モデル就業規則」が改正され、改訂された主なポイントの中のひとつが「副業・兼業」というわけです。
とはいえ、世の中にどうこの「モデル就業規則」が変わったのか、というものは広まっていないため、よい機会だったので、調べてみたというのがこの記事の背景です。新設は主に、「ハラスメント」「副業・兼業」に関わる内容になります。
===【具体的に】
■妊娠・出産等・育児休業・介護休業等に関するハラスメントの禁止について:
(追記された点)
第14条:
妊娠・出産等に関する言動及び妊娠・出産・育児・介護等に関する制度又は 措置の利用に関する言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしては ならない。
(背景)
平成 29 年1月1日施行の男女雇用機会均等法第 11 条の2及び育児・介護休 業法第 25 条において、職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業などに関するハラスメントを防止するため、必要な体制の整備その他の雇用管理上必要 な措置を講じなければならない事が明記に伴い、今回14条が追記されました。
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(追記された点)
第15条:
第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言 動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境 を害するようなことをしてはならない。
(背景)
パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・ 介護休業等に関するハラスメントのほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントの防止を目的として新設されています。
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■副業・兼業について
(変更点)
労働者の遵守事項における副業・兼業に関する規定(「許可なく他の会社等の業務に 従事しないこと」)を削除
その上で、下記を新設
第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出 を行うものとする。
3 第1項の業務が第11条第1号から第5号に該当する場合には、会社は、これ を禁止又は制限することができる。
(背景)
平成 29 年 3 月 28 日に働き方改革実現会議において決定された「働き方改革 実行計画」で、副業・兼業の普及促進のため、「副業・兼業の推進に向けたガイ ドラインや改訂版モデル就業規則の策定」を行うとされ、「柔軟な働き方に関する検討会」での検討を踏まえて規定を改正する記載が検討されたため、とあります。
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主な新設箇所を整理しました。個人的に気になったのは「副業・兼業」の件。一般的には副業・兼業の規制が緩くなり、もっと自由に働けるように考えられていますが、「モデル就業規則」の改正された部分では「会社に所定の届け出」を行うものをする、とあります。要は、許可制となるわけで、会社の理解が進まない限りはまだまだ副業が促進されるのは先になるのかもしれません。
働き方やキャリアに関わることなので、自分自身が契約した「就業規則」については改めて確認した方がいいでしょう。
ということで自分も調べて勉強になりました。自分も改めて自社の「就業規則」を調べて、今後の働き方を選ぶ上での参考にしたいと思います。
ではでは。
参考:モデル就業規則 Link
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf