小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

なぜ、カフェだと仕事がはかどるのか、を実験してみた。

先日、この記事が話題になっていました。

dot.asahi.com

端的にいうと、仕事場でいちばん生産性に影響を及ぼす因子は、気温とCO2濃度。その気温とCO2濃度がもっとも低く、生産性を高める環境というのが、自宅でも、オフィスでもなく、カフェなんだとか。というならば、やってみようぜということで、先日知人のオフィスにて、CO2濃度を測定する機器を導入し、カフェの環境を擬似的につくりだし、2時間のMTGを実施してみました。環境はこんな感じ。

■オフィス:9F 8.9坪
■参加人数:5名(すべて男性)
■室温24度、CO2濃度900ppm

まず生産性にいちばん関係がある室温、CO2濃度を測定すると、室温は24度。CO2濃度は900ppmを超えていました。オフィスのCO2濃度の基準値は、350ppm〜1,000ppmといわれているため、すでに換気が必要とされているレベル。まずは窓を開けて換気を実施しました。参考までに下記に建築基準法の数値を紹介します。

<CO2濃度の目安>

350~450ppm   過剰な換気(外気:330~400ppm)
450~700ppm   理想的な換気レベル
700~1000ppm  換気が不十分(室内では1000ppm以下に抑えることとされている)
1000~1500ppm  悪い室内空気環境
1500~5000ppm  これ以上の環境で労働をしてはいけない
5000ppm以上   疲労集中力の欠如
※建築物衛生法、建築基準法労働安全衛生法

 

さて、窓を開けるとどうでしょう。みるみるうちに数値が300台まで減少。一同から「お〜!」との驚きの声が。5分も立たないうちに仕事に最適な環境に生まれ変わりました。こんなにCO2濃度は簡単にコントロールできるものなのだ、という学びを得ました。と盛り上がったところで、いざ出陣。2時間のMTGを開始しました。

===

2時間のMTGの結果:
MTGなので、あくまで主観でしかないのですが、「快適」のひとこと。たしかに頭がクリアだし、回転が早く感じました。始まる前の900ppmのときは眠気もあり、明らかに高い生産性を生み出せる環境ではなかったかもしれません。

正直、これには驚きました。
気温とCO2を最適化するだけでこれだけ頭がクリアになるんです。これはだまされたと思って、やってみてほしいところ。

ということで、なぜ、こんなねたをあげたかというと、最近「働き方改革」のもと生産性向上の記事を多々拝見しているのですが、「う〜ん、、、」といういまいちな内容が散見されています。先週は日経ビジネスでも「便乗時短」として働き方改革の特集を組まれていましたが、正直、読んだ感想は、良い事例として上げられているものであっても、メールで数秒のロスを減らしましょうなど、「これをいま取り上げるのか、、、、」という内容が多く、残念な気持ちになりました。

小さな改善を否定しているわけではないのですが、もっと大胆に働き方を変えることにより生産性があがる方法も知るべきだと思っています。今回取り上げた「気温とCO2濃度」の件もそうです。これだって自分で選択できる働き方です。また、脳神経科学の知識を得れば、より学習の認知効率をあげることもすでに可能になっています。これも知識であり、科学的根拠にのっとって個人で実践しようとすればできます。知っていれば、選択が可能です。

(参考)

凸版印刷|凸版印刷、社員の能力開発拠点を新設


メールの行数を減らす、電話禁止などの小さな改善ではなく、大胆な改善活動にも目を向け、自分の働き方に取り入れてみると思いもよらない効果があるかもしれません。まずは自分がやらなそうな働き方にあえてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


1週間で気になった記事を改めて洗い出してみる。そして、考える(2017/07/29)

定番のこの企画。今週1週間で気になった記事をまとめて振り返ってみました。

1.

newspicks.com

 アクセンチュア・リサーチとフロンティアエコノミクスの潜在的なAIの経済インパクトに関する共同レポートの記事です。もっともインパクトがあるのが3業界。「情報通信」「製造」「金融」。低いのは「教育業界」。重要なのは、大なり小なりプラスの経済効果をAIによって得られるということです。こうしてみると、AIをより早く活用していくことが望まれるわけですが、NewsPicksのコメント欄ではAIの導入コストはここ2年で急速にローコスト化しているとのこと。。すでに現場ではプログラムを知らないひとがDeeplearningによる未来予測をしているというコメントも。つまり今後大事になるのは、AIをどこに使うのか。AIをどう効果的に使うのか、という観点になります。特にどう効果的に使うのか、というのはビジネスモデルの転換を意味しており、いち早くビジネスの方法までを変える企業が一挙独占ということも考えられそうです。

(個人的な学び)
→AIによる経済的インパクトは、あらゆる業界にもたらされる
→AI導入は不可避であり、どう活かすのか。ビジネスの設計が肝となる。



2.

style.nikkei.com


2025年には、SAPの75%がミレニアム世代になるとのこと。また、クライアントも同様にミレニアム世代が増えるので、ケータイやAIが当たり前の世代に合わせた環境づくりが当たり前になるとのこと。

紹介されているのは、評価制度の仕組み。半期もしくは1年の目標設定とフィードバックではなく、リアルタイムフィードバックの仕組みを導入しているとのこと。対話アプリに慣れていることもあり、常に上司とコミュニケーションをとる仕組みの方がミレニアム世代に働き方に最適化できるといいます。また、ビジョンに共感する世代でより上司との密接な関係構築が優秀な社員の離職を防ぐという効果もあります。新しい働き方に会社を適応させていくひとつの事例になるのではないでしょうか。

(個人的な学び)
デジタルネイティブが台頭するのであれば、その年代に合わせた働き方を
デジタルネイティブが働きやすい環境に上の世代は適応しなければならない
→リアルタイムのフィードバックが当たり前に。コミュニケーションの質向上は必須に
→若手に合わせるのか、既存社員に合わせるのか。いま、分岐点にある。


3.

dot.asahi.com

生産性をあげるには、最適な環境をつくることが重要で、その重要な要素のひとつとして、CO2濃度と気温が影響しているとのこと。その濃度が低い方がより集中しやすい環境であるとして、その環境は自宅、オフィス、カフェのうちどこかといえば、カフェらしい。だから、カフェは仕事に集中できるといいます。ほか、気温とCO2が低いという話であれば、緑に覆われた避暑地なども低いので、そういう意味では異なる環境で生産性があがるというのはあながち気分だけの問題でもないようです。

(個人的な学び)
→個人の生産性をあげるために、個人ができる施策は十分ある
→集中力をあげるには、気温とCO2が重要に。低いほど、効果がある。
→都内であれば、カフェが適任。だまされたと思って試してみるべし。

とうぜん、集中を妨げる騒音など、別の要因も挙げられますが、自ら最適な環境を見つけ、最適化させる努力はもっとしてもいいのではないでしょうか。


4.

www.soccer-king.jp

スペインのプロサッカーリーグ:リーガ・エスパニョーラで活躍する乾選手のインタビュー。昨シーズンはバルセロナ戦で2得点をあげるなど、シーズン後半に調子をあげ、チームに貢献してました。このインタビューで気になる点は、乾選手がなかなかスタメンで出場できなかったときのメンタリティと監督のコミュニケーション。乾選手はシーズン始まる前から「今年はスタメンがキツいだろうな」という意識をもち、外されたとしても「思ったより早かったな」という気持ちだったそう。的確にいまの自分の立ち位置を分析し、自分への期待値を上げすぎないことが功をそうしたカタチです。また、監督へのコメントにこんな一節があります。

「監督が言っていることも考えていることも理解できるし、誰に対しても同じように接する。だから尊敬できる。ウチのチームにはいい選手がいるので、もし自分が試合に出られなくても納得できるところもあるんです。だからふてくされることもなかったし、とにかく練習が楽しかったので、モチベーションを保つのは難しくなかった」

監督が言っていることが理解できる。また同じように接し、エコひいきをしない。だから、モチベーション高くでき、最終的にはスタメンに返り咲くことができたという話。これ、ビジネスでも同様のことがいえないでしょうか。

(個人的な学び)
→期待値コントロールが大事。いまの自分を的確に判断し、適切な期待値を設けること
→上司の理解。理解不足が不安とストレスを招く。相互理解があれば、腐ることはない。
→監督視点では、一貫性とコミュニケーション。言動を変えず、日々、メンバーコミュニケーションを大事にすること。結果、それが信頼関係を構築する土台になる。


5.

www.youtube.com

最後は、おまけ。新海誠監督の「君の名は。」のDVD/ブルーレイの販売がスタート。そのタイミングに合わせた「期間限定」の動画配信の紹介です。秀逸だなぁっと思ったのは、絵コンテというプロセス業務をコンテンツ化し、PRにかけていること。「君の名は。」は、美しい描写、伏線となる台詞、音楽など、監督がこだわり抜いた作品で、描写は聖地巡礼、台詞の伏線はネットで多くのスレッドやブログが誕生し、音楽はRADWIMPSが大ヒット。ある音楽番組で知ったのですが、セオリーではありえない編曲がされているそうですね。

こうした作品に引き込む仕掛けと、「もっと知りたい」というファンをより引き込むコンテンツ配信のストーリーはマーケッターが学ぶことが多いのではないでしょうか。なぜ、これほどの大ヒットになったのか、分析することが多くの学びにつながりそうな予感があります。

余談ですが、新海誠監督は母校の先輩なので、今度会える機会があったら、いろいろと作品づくりについて個別質問したいと思います。

ということで、今日はここまで。
ではでは。



ポストがひとを変える、という体験がひとを変える。

ポストがひとを変えるといいます。

よくも悪くも、これは真実だと思います。本日は、ちょっとした私の体験談の紹介です。

いま、私にはオウンドメディアの「編集長」という肩書きがあります。設立2年強のオウンドメディアなのですが、いまでは多くの方々にご覧いただけるようなメディアに育ってきました。しかし、その「編集長」という肩書きですが、実はオウンドメディアということもあったり、規模が大きくなかったりしたのでメディアの立ち上げ当初の1年は「編集長」という肩書きを使っていませんでした。あくまで「オウンドメディアの担当」という立場でメディアや読者と向き合っていました。

しかし、転機がやってきます。

パートナーや読者の方からの薦めもあり「編集長」という肩書きを名刺などで記載し、1年前から積極的に使うようになりました。正直、謙遜もあり、しっくりこないところもありましたが、周囲の薦めもあり「まずはやってみよう」という気持ちでスタートしました。

ところが私にとって、これが好影響を及ぼします。

メディアの取材が増えました。
イベントなどの登壇が増えました。
取材先のインタビュイーとつながる機会が増えました。

いちばん変わったことは、「会えるひとが変わる」ということでしょうか。紹介者にとっても、「あのメディアの編集長」「あのイベントコミュニティの責任者」というわかりやすいフレーズができることもあってか、「このひと、ぶっ飛んでるよ」とか「このひとはユニークだよ」と、紹介される方が増えていきました。体感値でいうと、会っている人の数は編集長と名乗る前と後では、3倍ぐらいに増えているのではないでしょうか。そうして会う人が増え、弱いつながりが広がっていくとこれまで触れてこなかったような情報が徐々に集まるようになってきました。

この一次情報がメディアの質をつくる私にとっての大切な財産になっています。

chibiblog.hatenablog.com


「編集長」というポストは本当にすごいな、と思います。会える人が増える。つながりが増える。情報が増える。メディアの立ち上げをしてまだ2年強ですが、本当に素敵な体験をさせてもらっているな、と思っています。

謙遜して固辞していた「編集長」という肩書きですが、ポジションが明確であるからこその機会がやってくることがようやくわかってきました。そして、相応のスキルがあるのか、経験値が足りないのではないか、と1年前は謙遜していましたが、言えるのはこれ。

ポストにふさわしいか、ではなく、
ポストにふさわしくなるよう、努力することでふさわしい存在になるのだ。

今後も、ポストにふさわしい存在であり、かつそのポストが憧れになるよう尽力していきます。



世界のサッカーから学ぶ、ビジネスにも通じる「育成法」とは

今日は、サッカーのスタイルの話から。先日、FOOT×BRAINという番組にFCバルセロナのスクールコーチの経験もあるサッカー指導者 白石尚久さんが登場していました。

テーマは、「世界の指導法の違い」について。

この話の中で気になったのは、指導において確固たる軸があるのか、否かという点。実はスペインにはスペインのサッカー観を、イタリアにはイタリアのサッカー観を教え込むメソッドがあるそう。

例えば、スペインはポゼッションサッカー。ボールを保持して試合を支配する戦術が基本のため、「トランジション→切り替え」が大事になる。だから、ボールを奪われたときにどう守備をするのか、攻撃時にボールを保持していない選手がどう動くのか。攻守の切り替えの練習に重きを置くのがスペインの特徴になる。

一方で、イタリアは「攻撃」「守備」を別々にトレーニング。トランジションの練習はしないそう。

文化に合わせた練習法が国ごとに確立しているのが海外の特徴。だから、特徴あるサッカーが生まれる。では、日本はどうかというと世界のいいところを組み込もうとする。いいところもあるけど軸がないので、日本人らしさが欠けてしまう一面もある。ここに課題があるそう。

大事なことは、文化に合わせた「育成法」であるべきということ。

こう言われるとビジネスでも同様のことがいえる。個人であれば方向性や自己分析なくして、何を強化しようか、どうプランを立てようかといっても、想像はできない。組織も同様。その「会社らしさ」となるコアコンピタンスを理解し、強み、弱みを整理し、際立たせた鍛錬が必要になる。自分らしさ、会社らしさの軸があることで取捨選択し、【学び方を選ぶ】ことができる。

自己啓発本のベストセラーを追いかけてもダメだし、トレンドに乗るのもダメ。

強みや弱み、自己理解なくして、指導法は選択できないし、個人にとっていい学び方を選び出すことはできない。何事もまずは文化と自己理解から始まる。

ネットメディアが溢れる中で、どう戦うのか

録画していた食の人気雑誌「dancyu」の新編集長の回を見ました。驚きなのは、雑誌が売れなくなる中で、ここ5年で「14%」も発行部数が伸びていること。なぜ、雑誌が売れない時代に、売れる雑誌をつくることができるのか。雑誌編集長 植野さんの仕事術から考えてみました。

www.mbs.jp
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番組を見て思うこと。それは、読者が知りたいことを理解している。そして、そのためのアクションをしているということ。当たり前に思えるけど、実はこれがなかなかできない。読者が知りたいことを情報発信しているので、結果、「食ならdancyu」と思ってもらえることにつながる。ブランドなのだ、読者との約束なのだ、そのためのスタンスなのだ、と感じた。ということで、そうなるための切り口を自分なりにまとめました。

1)情報収集術
中でも興味を引いたのが、「情報収集術」。dancyuを支え、料理人などプロも知りたいと思わせる情報はどこから取得されるのか。

ヒントは「一流に聞く」「活きた情報」。

いちばんは、食の集積地:築地市場に話を聞きにいく。足で情報は稼ぐというけど、結局は一流に聞くのが早い。植野さんいわく、一流が「ここ、すごい美味しいんですよ〜!!」と、熱量が伴っている情報は、只の情報ではないとのこと。

あとは、つながり。番組に登場したのは、アンジャッシュ渡部さん。仕事を通じて定期的に話をするそう。仕事を通じて仲良くなった方々と定期的に情報交換することでトレンドと読者視点をアップデートしていく。

2)早期の信頼構築:
取材を情報収集の場、と捉えることもできるけど、一方で「信頼構築」の場ともとれる。植野さんの取材では、めもしたのは営業時間だけ。相手の目を見て、話す。血の通った対話から、相手との信頼が生まれる。信頼が生まれるから、自然と雑誌に踊る言葉が対話のなかから見つかってくる。植野さんは、あえて現場でめもしないそう。対話を楽しむことも理由だけど、社に戻ってふと出てくる言葉がインパクトある言葉になることが多いそう。現場で踊った言葉と熱量がわかるから、キレのある編集ができる。

3)粘り強さ:
当然、取材拒否の店舗もある。しかし、いちど、取材を断られても、諦めない。このひとが出るメディア、この店が出るメディアというのが読者の期待でもある。簡単には引き下がらない。

4)表現に妥協しない
インスタなど、素人が写真を獲る時代。その差は本当のプロとアマの差をつけることに他ならない。だからこそ、雑誌の命ともいうべき、写真には妥協を許さない。料理の写真では、ひとの手を伸ばしたくなるもの、シズル感が大事。仮に自分の仕事でいえば、楽しそう、苦しそう、感情のエピソードに重みをつけることか。

5)仕事を楽しんでいる。
月にいちど、仕事まわりも含めてお店にひとを集めて料理を振る舞っている。いちばんは、食が好き。料理が好き。努力しても、好きには勝てない。

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メディアの編集長の話って実に面白い。改めて、編集者の番組を集めて、見まくる日をつくってみようかな。さてここからは上記を受けての自分の振り返り。

1)は足で稼ぐことは自分も特に意識しています。一流のビジネスパーソンには一流の話が集まる。この収集されるコミュニティにいるか、いないかが大きな差になります。編集者として、コミュニティに参加させていただく権利取得はまず第一歩。

2)早期の信頼構築については、対話を楽しむことは常に意識しています。また取材は相手のプロフィールから過去記事などを読み込み、下準備は当たり前にする。ベースがあるだけで、相手の信頼も違うし、引き出すポイントの仮説も出せる。何よりも楽しい会話には、相手を知っていることが大前提。

3)粘り強さ:
当然、メディア運営していると断りもある。ここの粘りはまだまだ。いつかあの人に取材で了承を得たい、という方はたくさんいるので、粘り強く企画をぶつけたい。

4)表現に妥協しない、というのもそうだけど、個人的にはもっとパートナー含めた「振り返り」の精度をあげたい。より良いものをつくりたい、というモチベーション管理が肝。

5)仕事、むちゃくちゃ楽しんでます。表現者としては、当たり前。

ということで、ネットメディアが溢れる中で勝ち続けるには、一流のコミュニティを形成し、顧客が求める情報を発信しつづけ、期待に応え続けるのみ。シンプルに人がしらなことを提供し、ひとに教えたくなる情報こそがいちばんなのだ。以前、情報を追いかけるのではなく、人を追いかけるのだ、と投稿したけど、その方法に対して自信がつきました。

chibiblog.hatenablog.com



ではでは。

著名ビジネスパーソンの初回投稿がどんなものなのか、振り返る

俺たち、毎日ブログを書くぜ!の企画に賛同し、7月は早24日目。これまで中断期間を挟んで書いてきた記事数は、85本となり、桁がえが見えてきました。いやぁ、毎日1,000文字以上の記事を書くというのはそう簡単なものではないものの、よく続けられているものです。しかし、辛いと分かっていつつもこの企画に乗ったのには、理由があります。

それは、著名ビジネスパーソンといえど最初の文章はうまくなく、何事もやり続け、鍛錬することが大事、ということがわかっていたからです。ということで、今日は知人から紹介された著名ビジネスパーソンの初投稿を恐れ多くも紹介します。

■イシューから始めよ:Yahoo!Japanの安宅さんの初投稿(※初めましては除く)

d.hatena.ne.jp

神経科学(ニューロサイエンス)を熱く語る安宅さんのブログ。記念すべき最初のタイトルは「僕とニューロサイエンスとマーケティングの関係」。当時の安宅さんのいちばんの関心ごとは「なぜ、一人ひとりは違うのか」。同じ経験をしても人によって感じ方が違うわけで、その根っこにある「知覚」について、深掘りされている記事になります。

次の投稿が「色」ということもあり、初期の記事は脳神経科学の切り口からの疑問点を挙げてみて、自分の意見をそのまま書くという至ってシンプルなもの。記事というよりも気づきめもというか、日記に近い印象です。


■CtoCの代名詞「ココナラ」南さんの初投稿:

soullovers.at.webry.info

書評と決意表明をされている記事。ブログをはじめた理由を「知的生産の新しい流儀」を身につけるため、とのこと。

■「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」で有名な佐宗邦威(サソウクニタケ)さんの初投稿:

blog.livedoor.jp

ブランドマーケティングの話が初投稿。読者視点かというとそうではなく、自分の考えを整理するために書き留めているという印象の記事です。ブランドマーケティングから入り、次の投稿は「戦略的な会社とは、、、」。次は「マーケターという人種」による話。興味関心の強い所から始めるという王道としての初投稿でした。


ビジネスパーソンの人気ブログ「Books&Apps」安達 裕哉さんの投稿:

blog.tinect.jp

今でこそ「である」調で統一されていますが、初投稿当時は「です・ます」調からスタートしていることがわかります。いまのBooks&Appsの記事の論点整理から無駄のない話の運び方に比すると、ぎこちなさを感じる文面です。しかし、これが数年後は押しも押されぬNo.1のビジネスブログになるわけで、日々の鍛錬というものは決して裏切らないものだと感じることができます。



■(最後に)自分の初投稿:

chibiblog.hatenablog.com

著名ビジネスパーソンの初投稿を受けて、わたしの事例へ。何かこう肩肘をはらずといっておきながら、ガチガチな記事を一生懸命に書いているところに好感が持たれるかもしれません。

ということで、まとめ。


誰もが、最初は不器用である。
しかし、鍛錬によるクオリティアップは確実に成される。


何事も鍛錬、鍛錬ですね。

自然から学び、自然と生活していたひとがいま感じること

エッジが立つようにウソっぽいタイトルをつけました。内容は至ってシンプルで自然から都会に生活が変化したひとがいま、感じていることです。

では、そのひととは誰か、というと何を隠そう筆者です。

最近、まわりがキャンプを薦めることで家族でキャンプデビューしました。光もない真っ暗闇の中、火を囲んで時のたつのを忘れてひとと語り合う。そんなひとときが人間的であり、「デジタルデトックス」的でトレンドっぽいところもあり、自然の価値を再確認している自分に気づかされます。なぜ、こんな話をしているかというと、「人間的」というキーワードが頭の中に巡る機会が最近、多くあったからです。

■風呂は薪炊き、こたつは炭という家で育つ:
本当にそんな家があったのか?と言われそうですが、実はわたし、小学校までは風呂は薪風呂、こたつは炭こたつという田舎の家で育ちました。

薪風呂をご存知ない方はぜひググってみてください。文字通り電気ではなく、薪でお湯を炊くお風呂です。薪をボイラーに焼べて、お湯を温めて入っていました。だから、火起こしは日常のほんの一部で、毎日薪で火を起こしまくってました。

また冬場は定番の炭こたつ。薪風呂のボイラーでできた炭をこたつにもってきて、掘りごたつの掘りの中に置くと、半日ぽかぽかのこたつの完成です。猫がこたつの中から一酸化炭素中毒になりかけて、げほげほと咳き込みながら頭を出すことも日常のワンシーンでした。

こうして話をしてみると面倒な生活と聞こえがちですが、子どもだったこともあってか、習慣化していたこともあってか、何も苦になることはありませんでした。しかし、いま、その生活を振り返るとここが自分の原点だったし、ぽっかぽかのお風呂やこたつから自然の力を感じることがあったし、人間的だったという気がします。普段の電気で炊く風呂と薪風呂、電気こたつと炭こたつって圧倒的に後者が身体の芯まで暖まるんですよね。

■いまは、デジタルから自然の揺り戻しのターニングポイント?
ここでいうのはデジタルで世の中が便利になったといっても、実は感覚的に人間によいとされていたものとのトレードオフになっていて、利便性の価値と自然的な価値のバランスにおいて自然の価値への揺り戻しがきているのではないか、という話です。

先日とある著名マーケッターと話をしていたとき、日本人のルーツのお話をされていました。認知科学の領域で、日本人が慎重でリスクをとりにくいというのは、400年の歴史で培われた能力なんだそうです。いまの日本人を掘り下げると400年の歴史があるわけで、その人間的変化はそう大きく変化しないそうです。

であれば、自然が身近にあり、それに囲まれていた原体験は遺伝子レベルで日本人が持つものであり、デジタルという非人間的な生活の伸長が逆にその揺り戻しを起こしていることも自然な成り行きだと捉えることもできます。

自然から学ぶ人間的な価値の再発見——

そんな原体験にいまのひとを惹きつける魅力が隠されている気がしていて、改めてデジタルだけでなく、人間的な体験価値をどうカタチにするのか、という点にもサービス提供社として重きを置いてみたくなっています。

それが、なんとなく「人間的」というキーワードに集約されていてたびたび頭の中を駆け巡ります。

ここまで引き延ばしておいて何の落ちもない、自分のメモ用の投稿でごめんなさい!でも、ふと考えていたことをカタチにしたくなり、メモとして書き殴るように書き出してみました。今度、もっと深掘りして記事として配信したいと思います。

1週間で気になった記事を改めて洗い出してみる。そして、考える(2017/07/22)

定番の1週間で気になった記事を洗い出し、考えるシリーズ。今週はいろんなバラエティに富んだ記事をピックアップしていました。


1.

otoyon.com

記事内でもあるのですが、静岡の吉田町が夏休みの連休を減らすとあり、学生側がもう反発。それを起にオランダ在住のコンサルタントが書いた記事です。夏休みが長い、短いにしろ、いちばん大事なことは「暇(ひま)」だというお話。

<「親としての役目とは、子どもたちが社会の中で自分の居場所を見つけられるような準備をさせることです。『大人になる』ということは、『自分自身のスケジュールをコントロールして、幸せに感じられるような余暇の時間で埋め尽くせるようになる』、ということなのです」>
<「退屈は、真の創造性をもたらし得る『内在的な刺激』を発達させるのに不可欠なものである」>


親として子どもの為になるべくスケジュールを埋めてあげよう、夏休みに何をしようかとふと考えがち。だけど、子どもに余暇を与えて、退屈の中で創造性をもたらす内発的動機に向き合わせることも重要という話。ちなみに記事内で紹介されているようにSchoolの語源はラテン語のエコール「ひま」からなのだそう。学びと余暇は切っても切れない関係にあるようです。

<個人的な学び>
→子どもにとって、暇は悪ではない。
→暇は、創造の元となる内発的刺激となることを認識すべし
→大人もそうだけど、もやもやは自分と向き合う貴重な機会。その時間を大切にすべし。


2.

www.jimpei.net

これは、単純にわかりやすい構図だという話。商売の基本がわかる記事で、子どもでもわかる内容なので、ブックマークで保存しています。 ※特に学びというわけではなく、こ難しい話をわかりやすく説明する見本として、ピックアップしました。


3.

logmi.jp

知人が登壇したイベントのログです。個人的にもBooks&Appsのファンで定期購読しています。その上で、生っぽいブログの方が面白い、その理由は現場のリアルが盛り込まれたものがひとが興味をもつところだから。成功だけでなく、失敗や葛藤。そんなリアルが面白い。企業配信の記事はきれいにまとめすぎようと思って、角がとれて丸くなる。それでは、ひとの共感を生まない。

編集でやりがちなんですが、変に加工しすぎて、綺麗にしすぎる傾向があるので、このさじ加減は角のある記事を定期購読することで、感覚を養いたいなと思った次第。

(個人的な学び)
→カッコつけているところに本質はない。
→人が知りたいことはやっぱりリアル。成功、失敗、悩みなど。
→感情が立った「意志のある記事」こそが読者の求めていること。つまり「リアル」

4.

diamond.jp

日本のMBO(目標管理制度)が機能しない理由を、歴史的背景から解説した記事。HR業界では知らないひとはいないという権威、守島先生の解説です。意外なことは、元々MBO(目標管理制度)は、評価のツールではなかったというもの。本来は、会社の方向性と自身のキャリアを刷りあわせ、双方合意の上での目標達成を目指すこと。そして、その達成度を評価することで、成果を高めていく仕組み。なので、前提として上司と部下のコミュニケーションが土台としてあるべきだったところ、その理解がないままに成果主義とセットに日本で導入されてしまったため、目標管理=ノルマ管理と成ってしまったとのこと。形式的なMBOではなく、人をモチベートして、育成する視点を持つキッカケにもなる記事。まだ前編のみの公開ですが、後半が今から楽しみです。


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残りは余談でひとつ記事を紹介します。

headlines.yahoo.co.jp

追加ですが、この記事も面白かったです。ユニークな点は、星野さんは面接をしないそうです。理由は、星野さんいわく、「ひとを判断できないから」だそう。できないことは全面的にひとに任せる。星野リゾートはあくまで現場で。AIを活用する企業はAIで。今後は面接の在り方も変わりそうです。余談の余談でいえば、例えば、採用にAIを活用しているセプテーニ社は実際に役員面接までの分析で90%以上の確率で合否の可能性を判断できるため、役員面接を廃止した、という話もあります。より採用も合理化していく方向にありそうです。

(個人的な学び)
→自分の役割、強みを活かすということは弱みを任せること
→星野さんほどの経営者が現場に採用する権利を委ねていること。その役割は本当に自分が担った方が会社全体の利なのかは、改めて考える必要性がある。

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ということで、気になった記事の中からいくつかピックアップ。好評なので、今後も継続していきたいと思います。ではでは。

モチベーションを高める、企画の生み出し方

メディアを運営していて、もっとも大事なプロセスに「編集会議」があります。それぞれの編集者がテーマに沿って企画を持ち寄り、何を進め、何をやめるのか。編集者にとってまさに自身の仕事の生き死ににつながる戦いの場でもあったりします。

ありがたいことに最近、いろんなメディアの編集会議に参加させていただいたり、某有名な編集長とお話をしている際に「編集会議」の進め方によって、メディアの色の違いが出ることに気づきを得てきたので、今日は中でも自分が「この視点は大事にしたい」と思えた編集会議のお話をしたいと思います。

イデアが拡張しない「編集会議」の特徴:
先にこれはいまいちだな、と思う編集会議からお伝えすると、各々の企画持ち込み者が、自身の企画を全力に通そうとする編集会議です。Aさんは、Aの企画が最高だという。Bさんは、Bの企画が最高だという。Cさんは、Cの企画が最高だという。だから、Aさんの企画に対して、他者は粗を探しに入る。それは考慮されていない部分を洗い出す、という行為よりも企画の減点ポイントを探る。いつの間にか、Aさんの起案は丸みを帯び、仮に起案が通ったとしても大して面白くもなく、読者にも刺さらない企画となる。多かれ少なかれ、だいたいこんなストーリーがあります。チーム内で、対立軸が生まれてしまうケースです。

イデアが拡張する「編集会議」の特徴:
では、編集者がモチベーションを高める企画はどのように生み出されるのか。最初は、それぞれの持ち込み企画であることは前者と同様です。しかし、編集会議の内容が異なります。

それは、その企画がもっと面白くなるために様々なアイデアを積み重ねていくというもの。口癖のようにいう言葉があります。

「いいですねぇ」
「あと、何かもうひとひねり、ないですか?」

企画がいい!と言われて、悪い気になる編集者はいません。さらにひとひねりする。参加する人たちがまたそのアイデアを拡張する意見をいう。「こんな観点から、○○というのはどうだろうか?」とか。

Aさんの企画、Bさんの企画、Cさんの企画は、いつの間にかそれぞれの企画が軸となり、D案、E案、F案などに生まれ変わっていく。実はここに圧倒的ユニークな企画が眠っています。

さて、ここからが本題です。

なぜ、このような企画手法が優れているのか。圧倒的に違うのは、編集者のモチベーションです。Aさんの企画が通った場合、Aさんの企画をカタチにすることになったBさん、Cさんのモチベーションがあがりません。一方で、後者の場合、D案といったみなの議論で生まれた企画に大しては、みなが「自分が起案した」「自分の企画だ」と思っているところがあります。企画が自分ごと化します。

クリエイティブな仕事にとって、モチベーションはアウトプットに大きく影響を与えます。だからこそ、編集者のモチベーションをどうサポートするのか、というのは編集をリードする人間の大切な役割であり、スキルです。

これ、某有名な編集長の方からいただいたお話で、アイデアの拡張を意識しながら物事を進めるとチーム全体のクリエイティブを遺憾なく発揮できるということで自分も意識している手法です。興味がある方はぜひ、お試しあれ。

とはいえ、簡単にこうした編集会議の文化をつくることもできないですし、また編集長が独自の判断しなければならないこともあるので、そのことはまた別途カタチにしたいと思います。

ではでは。


毎日ブログを書くための「ねた」をどう生み出すのか、という質問に答えてみる

昨日、社内の後輩からこんな質問をもらいました。

「毎日、ブログを見ているのですけど、そのねた元はどこにあるのですか?」

毎日ブログを書いているひとの大きな悩みはおそらく「ねたが尽きる」ということだと思います。日記とは異なり、テーマが絞られたものであれば、なおさら「ねた」をどう絞り出していくのか、ということに苦心すると思います。

今日は、いただいた質問の回答をもとに記事を書いてみます。

■ねた元は、日々のメモ
先に質問の答えからいうと、わたしの記事のねた元は日々の気づきのめもです。しかし、ほかの方と違うのがあらゆる気づきをめもにしてめも帳にまとめていきます。ちなみにどんな感じかというとこんな感じ。

はっきり言って、「めも魔」です。

 

f:id:chibiblog:20170720081522j:image

ひとに会ったとき
取材をしたとき
セミナーに参加したとき
本を読んだとき
資料を読み込んだとき
電車でぼーっとしていて何か思いついたとき

こんな感じであらゆる場面で、めもします。

あとよくあるのは、飲み会の内容をめもすること。自分といっしょに会食に行った方はご存知かもしれませんが、テーブルにメモ帳を置いて、のみ会の気づきをすぐにカタチに落とすことをしています。飲み会っていい話を聞いた、と思っていても、1日立てば何の話をしたのか、だいたい覚えていないですからね。だからこそ、気づいたら、めも。ただし、場の雰囲気を壊すことは避けるので、すべての場ではありません。

あとデジタルではなく、アナログに書くことにこだわることにも理由があって、

1.気づきの感情を文字の強弱で表現することができる
2.図をサッと書き起こすことができる

アナログのデメリットは「検索性に乏しい」ということがありますが、自分はメリット重視でアナログのめもを活用しています。そんな風にして、時々の気づきをサッとめも帳にまとめることを約6年間、続けています。さすがにこれだけの気づきのめもがあるとねたが尽きるということはありません。

ただ、記事にする上で、気づきはただの気づきです。直感です。そこに深い思考はありません。なので、その気づきを切り口に記事の構成を考え、情報を収集し、まとめるサイクルをまわしているのが、いまです。


■ログをとることを習慣化しているひと、しないひと
個人的にめもをとって、その気づきを深掘りし、自分ごと化していくと視野が広がりますし、アンテナが立つので、日々の気づきがもっと増えていきます。ちょっとした会話のやりとりからでも、役立ちそうなエッセンスを抽出することができるようになります。

改めて、後輩から質問を受けて振り返ると、なぜこうなったかというとわたしがこのひとはすごい!という方は必ず「ログを残す」ことをしているから。そして、気づきを気づきだけに留まらせず、「日々の振り返り、半年の振り返り、年の振り返り」をしっかりと行っています。中でも自分がいちばんびっくりしたのは、日々の集中時間のログをすべてとっていた方。朝方は集中できる、昼の終わりは集中が落ちるので、むりくり仕事ができるよう強制的に話をする「会議を増やす」など、日々の生産性を少しでもあげるPDCAを回していました。ここがわたしがめも魔になった背景になります。それが、いまではブログに活かされているという感じです。

日々のログは、振り返りの基になります。そして、ちょっとした気づきの積み重ねが大きな差になります。自分の力を1とした時、ほんの1%の努力(0.01)を毎日やり続けると、1年では365乗となり37.8倍になるという「1.01の法則」が有名だと思いますが、まさにそれだなと思っています。

ということで、ブログのねた元は何か。
そして、そのねたからどのように記事になっているのか、を紹介しました。