小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

取材先選定をどう決めるのか、をまとめてみた

編集視点で、旬な情報を取得する方法から取材のちょっとしたTIPSを紹介したところ、多くの反響をいただきました。ありがとうございます。

chibiblog.hatenablog.com


一方で情報収集や取材の話をしていたところ、知人から「取材先選定をどのようにしているのか、も聞いてみたい」という要望をいただきました。ありがたい話です。「企業秘密なのでは?」という話もありましたがそんな大層なものでもないので、こちらもざくっとまとめて公開しました。あくまで、自メディアの取材先を決める軸なので、参考程度でみてください。

■取材先を選定する上で、大切にすべきこと
まずは、取材先を選定する上で大切なことがあります。

1)メディアのテーマに沿った取材先であること
メディアを継続させていく上で「メッセージ」の一貫性は大事です。よくやりがちなのが、有名人でBuzzりそうだから、選定したというパターン。そこに必然性はありません。

2)信頼できる人であること
本を出版しているなど、世の中に一定の知名度をお持ちの方はいますが、実は同業界で評判が悪い人もいます。その悪評を知らずにメディアで取り上げると「あっ、このひとを取り上げてしまうのか、、、残念」と、発信する情報の信頼度を下げてしまうことになります。そうしたリスク対策として、同業界に詳しいかつ信頼できるひとに確認することも大事です。

3)今回の企画趣旨のテーマへの必然性があること
1)や取材のテクニックの記事にも書きましたが、なぜ、その取材先なのかという必然性があること。逆に、そのテーマならば、もっと読者の共感を得るひとがいるという話であれば、まずは候補に挙げてみることが大切です。


上記の3つはMUST事項です。では、1)、2)、3)を判断する材料をどう取得しているのかというと、ブログや日頃のFacebookの投稿などです。こうした生の声を判断材料とします。また、人や業界に詳しい方がネットワーク(人脈)にいれば、率直にその方の評判に関するヒアリングをします。なぜ、そこまでするのかといえば、読者の「信頼」を裏切らないようにするためです。

■「有名人(インフルエンサー)」ではなく「良き応援者がたくさんいる人」
取材先の選定として、もうひとつ大事な要素があります。それは「デリバリーの能力」です。デリバリーとは、FacebookTwitter、インスタなどに代表されるSNSの拡散になります。なぜ、大事なのかというとできた記事がいくらよい内容であっても、SNSを代表とする記事のデリバリーを抑えない限り、読者の手元に広く届けることはできません。

ありがちなのが、「有名人(インフルエンサー)」を取り上げれるというのがわかりやすいのですが、オウンドメディアという弱い立場の場合、大手メディアに露出で叶うことはできません。またインフルエンサー ≒ 大手メディアに露出したことがある人というケースがほとんどです。この場合、既存の記事と内容が重複することが多いため、二番煎じとなりやすく、話題となるコンテンツになりにくくなります。

では、どうするのか。

大事な視点は、有名人ではなく、「良き応援者がいる人」を取りあげるということです。インタビュイー自身ではなく、インタビュイーを囲む人たちです。「○○○さん、いつも応援しています!」「そのサービス、いいね!応援しているよ」といつも声をかけている人たち。この方々がどんなひとで、普段どんな言動をしているのか、というのをチェックしています。この囲むひとたちをLinkedinなどに習い、1次ネットワークとします。この1次ネットワークが上記の3つを満たし、インタビュイーの周りの方も共感するスイッチを押せるのであれば、デリバリーの経路はすでにできているものと同じです。

ちなみに、インタビュイーと囲む人(応援者)の場合、どちらが拡散にとって重要かというと、囲む人(応援者)の方です。実はインタビュイーが有名でなくても、応援者のデリバリー力が強ければ、SNSでコンテンツを流通させることができます。よくあるのが、まだ露出が少ないベンチャーの経営者(インタビュイー)と応援する人(著名なVCの方やベンチャー経営者)というパターンです。

逆にインタビュイーが有名で、囲む人はデリバリー能力がない、というパターンもあります。例えば、有名な学生ですね。インタビュイーはインフルエンサーであるが、まわりの学生はふつうの学生。この場合は流通経路が細くなるので、インタビュイーがいくら有名であっても、1次情報の先にコンテンツが流れることはありません。

結論、デリバリー経路の設計を組み立てられる、というのも小さなメディアでは大切な視点になります。ひと昔前はKLOUTスコアなるものがあって、簡単にインフルエンス力を定量化するツールがあったので、この定量数値を見ながら、取材先を決めたという経験からいまの軸ができたという背景もあります。

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いかがでしたでしょうか。

コンテンツをリリースして、取材先のインタビュイーのメッセージが世に出て、応援者がそれを支援し、読者はそのメッセージに共感したり、気持ちを揺さぶられたり。ときにはSNSで議論が勃発して、より観点の深掘りができたり。そうした場をプロデュースできるイメージがつく、というのが最終的な選定のポイントになる気がします。

もちろん、各メディアごとに読者層もインタビュー先も異なるため、参考になるかは分かりませんが、もしひとつでも得られるものがあったというようならば、うれしいです。また要望がありましたら、それに合わせて記事を書いてみようと思います。ではではー。

相手の内面を引き出す、取材のテクニックについて

メディアの編集を担当していて、もっとも大切なプロセスのひとつが取材。この取材の出来いかんでその記事のクオリティが100にもなるし、10にもなる。だからこそ、この取材のクオリティを上げるということに注力しています。ということで、これもよく聞かれる話題のひとつだったので、よいコンテンツをつくる上での取材テクニックをざっとまとめてみました。

■そもそもなぜ、取材をするのか:
取材は、読者コミュニケーションを支える素材集め。料理に例えると、食べるひと(読者)をイメージして料理の具体的イメージをつくり(企画/構成)、素材(ネタ)を集める。コミュニケーションはあくまでメディアと読者との間にあるのだけど、インタビュイーと読者のコミュニケーションとも捉えています。コメントとかあたかもインタビュイーと読者が対話しているように。

そして、その対話にはメッセージがのります。そのメッセージが読者に刺さるのか、否かは、取材で感情が乗った言葉をもらうことができたのかにかかっています。いい素材をいただければ、よい料理ができるわけです。

■取材時の大きな流れ:
信頼 → 安心(リラックス) → 熱中 → 本音 のサイクルをまわせるか

何度も取材をした方であれば、信頼関係が一定担保されています。一方で初めてだと「彼は、安心して話をすることができる相手なのか」と警戒されています。だからこそ、まずは信頼できるインタビュアーだと思ってもらうことが大事です。では、どうその場を整えるのかを書き出してみます。

1)何を目的としたメディアで、どんな人が読者なのかを伝える
…メディアの大テーマと、読者層(年齢、職域、男女比など)を伝える。メディアの趣旨に賛同できる、というだけでもグッと距離が縮まります。

2)なぜ、今回取材を申し込んだのか、背景を伝える
…インタビュイーに取材対象とした必然性を伝える。なぜ、あなたなのか、が伝わるだけで、「自分のことをよく調べているな」と思われ、インタビューに入る雰囲気をつくることができます。

3)取材時間の確認を行う
…「○○時○○分までの90分でよろしかったでしょうか?この直後のご予定などございますでしょうか?」と、相手のスケジュールを確認する。配慮をすることで、安心してお話をいただける状況をつくることができます。

逆にインタビューに入る前に、上記のような配慮なしに一方的に取材に入るとインタビュイーに警戒されてしまい、本音を語ることなく時間が過ぎることになります。実は、この入りで取材の成功が大きく左右されることになります。

■安心を生む質問を投げかける:
1)最初は、事実ベースの問いを投げかける:
インタビューでは、まず相手が話しやすい場をつくることが大事です。そのため、まずは「事実ベース」で答えられる問いを投げます。例えば「いまのお仕事は?」「どんなお仕事をされてきたのか?」など。プロフィールを見ればわかるような内容であっても、まずは相手が話しやすい「事実ベース」から話をスタートさせることが場を和ませ、リラックスさせることにつながります。

2)対話を楽しむ:
質問は、事前に決めてきたことではなく、相手の会話を基に質問することです。事実ベースで安心のベースが整ったら、徐々に相手が熱中するポイントを引き出していきます。ここでは、事前に想定していた仮説をぶつけにいくことになります。うまくハマれば対話が熱中してくるはず。

ここでの失敗パターンは決めてきた質問項目に対して、一問一答になるパターン。これだと対話が白熱し、熱がこもることがなくなるので、感情がのったメッセージを拾うことができません。

■本音を引き出す質問テクニック:
1)沈黙を大切にする
準備してきた取材であれば、深掘りする決めの質問をいくつか用意しているはずです。徐々に対話が白熱したところで、その質問を投げかける。おそらく思考に入り、じっくり考える時が出てきます。そこで、じっくりと時間を掛けること。わたしの場合は、この沈黙の時間では絶対に相手が話を始めるまで声を出すことをしません。なぜならば、安心の場でインタビュイーが内にある気持ちと対話を始めた時間だから。ここで絞り出された言葉が、実は強烈なメッセージになります。

2)同じ質問を繰り返す
上記の深掘りする決めの質問がありますが、あえて、取材終了間際に「今日のお話の中で重複するかもしれませんが、」と前置きを置いた上で、同じ質問をします。話の流れの中で語ることと、全部話を終えた上で、同様の質問を投げると実は思考モードが変わっていて、より気持ちがのったメッセージをいただくことができます。また、記事に書くときに2度した質問の情報を得ることで、記事内でいちばん盛り上げたいところの情報に厚みを持たせることができます。

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ということで相手の内面を引き出す、取材のテクニックをざっと挙げてみました。その中でわたしがいちばん意識するのは、「三方よし」の関係をつくること。インタビュイー、読者、インタビュアーすべてがよかったと思える取材です。インタビュイーのメリットはその取材を通して新しい「気づき」を得られること。それを提供価値としています。だからこそ、先ほど紹介した問いに対する「間」を大事にしています。ライターの中には、この沈黙が恐怖という方もいます。逆です。沈黙は、ポジティブです。

最後に取材の締め方について:
取材で話をした後の確認事項をしっかりと。スケジュールを伝える。広報と確認者の都合を聞く(イベント、プレスリリース、海外出張など確認しにくい期間がないかを事前確認する)、(広報が同席している場合)当日の取材時にNGとなるストーリーを先に確認。また、私がよくやる手ですが、もっとより良い記事にするために「追記」の可否を確認します。これによって、構成上、どうしても具体的ストーリーなどを挙げたい部分に無理なく打診をすることができます。

ということで、ざっと自分が抑えている取材のポイントを挙げてみました。ほかにもよい取材のポイントがある方は、ぜひコメント、メッセなどお寄せください。ではでは。

先を見るために発掘するべきは、「情報」ではなく「人」

久しぶりの投稿です。今回のテーマは「情報収集」について。

メディアの運営や編集をしていることもあり、新規事業などの企画や編集など、先を見ることを主軸に置く方から「chibiさんはどのように「情報収集」しているのか?」との問いをよくいただきます。

ニュースメディアを追う?
はてなブックマークを追う?

たしかにそうした行動もしているのですが、おそらくほかの方がしていない行動がひとつあります。今日はその行動について書きます。

まず、大事な観点で目的を達成する為に必要な情報はどこにあるのか?という視点が必要です。例えば、わたしの場合は「仕事/働き方」などテーマが絞れています。これからの働き方の選択肢となりうるユニークな情報ですね。

では、こうしたテーマで面白い情報はどこから取得するのか。まず「面白い」とは、「発見 × ワクワク」であると捉えています。発見は、新しい気づき。そして、ワクワクは自分ごとと捉え、自分の未来への期待を感じている、という解釈がとれると思います。そうした意味を踏まえ、発見があり、面白い情報はどこにあるのか、考えます。

で、話題を引っ張ってきましたが、答えはシンプル。
それは「人」にあるということです。

では、そうした面白い情報が集まる「人」とは、どこにいるのか。結論、発見を与え、ワクワクさせる人の周りにはそうした方が集まります。例えば、「コミュニティ」ですね。facebookでいえば、グループ。もしくはコミュニティの長です。

ここからがコツですが、そうした方々と直接つながりがなくても、「Facebookでフォローする」という機能があるので、相手をフォローすることで言動を追っていくことができます。ちなみにchibiは、「150名のフォロー」があり、その言動を追っています。

しかし、メディアを運営していく上で、他メディアとは異なる人を追い、新たな発見を読者に提供していかなければなりません。だからこそ、ここでもうひとひねりします。それは、こうしたクラスタの長が「応援している、支援している人」を探す、ということです。「○○さん、このサービス、いいね!がんばって」「このアクション、素敵です!」といった声を掛けられている方ですね。クラスタの長がこうして支援していることもあり「未来を感じる」しかし、「近い将来世の中に出る」といった要素を十分に含んでいます。こうした方々のブログやFacebookの発信が個人的によい情報の元になっています。そして、メディア人として、この方をどのタイミングで取材しようか、と追っていることがあります。

結果、これが直接会う取材というカタチとなり、仕事になり、強いつながりが生まれ、上記の情報収集方法とは異なる一次情報の取得というより信がある強固なネットワークになっていく、という流れです。

だからこそ、大事なことは情報を追うのではなく、人を追うこと。

あくまで自分の情報収集方法の一部をご紹介しましたが、何かの参考になっていたらうれしいです。それにしても、久しぶりのブログ更新で文章がいまいち。背伸びせずにゆるゆると続けていきます。

※7月から「毎日、ブログを更新するぞ」の企画が復活しました。今回の記事はキャンプに出かける前の30分で書き上げました。瞬発力を鍛えます。




テクノロジーだけの企業は、テクノロジーによって滅びるという話

「テクノロジーだけの企業は、さらに優れたテクノロジー企業の登場で滅びる。大事なことは、人とテクノロジー双方に優れていること。汗かいて、泥臭くできる人とテクノロジーを掛け合わせることができれば、なかなか真似することができない競争力となるんだ」


誰の言葉かというと今、自分が所属する会社の役員からいただいた言葉。彼は元々テック企業にいて、どちらかというとアナログな今の会社に転職してきた。そこで自分はこんな質問をした。

「なぜ、当社に転職してきたのですか?」

その問いに対する解が冒頭に挙げた言葉でした。

「テクノロジーは導入しようとすれば、どこの企業でもできる。しかし、顧客のために泥臭く、汗かく文化はそう簡単にはつくれない。ここにテクノロジーが加われば、すごい企業になると思ったんだ」。

自分よりも10歳以上は上であろう役員が、饒舌に語った忘れられない言葉。事実、会社はこの言葉を聞いたあとずっと伸び続けた。こんなことをふと書きたくなったのは、先週のカンブリア宮殿レオス・キャピタルワークス」の藤野さんの回を見たから。番組内で藤野さんのスタンスも同様のものだったからです。

共通点は、アナログな部分に価値を見いだしていること。

www.tv-tokyo.co.jp



情報を足で稼ぎ、自分の目で判断する。

アナログで、競合優位性をつくる。最近、自分が聞くのはアナログの価値をソフトに乗せるサービスや企業が伸びていること。確かにテクノロジーで急成長する企業も多いけど、2、3年でまたどこかしらの企業が台頭し、消えていく。栄枯盛衰のサイクルがとにかく早い。

アナログな企業はどうか。

真似できない部分をコアとしながら、テクノロジーでドライブをかけている。自分がお話を聞いた企業でも例えば「Linkers(リンカーズ)」のような技術の目利きできる職人が中間に立つことで成立できているサービスも多い。結局は企業の優位性を生む部分は、簡単には真似できない部分にある。

結果、「人」になる。

仮に競合優位性がテクノロジーだとしても、そのテクノロジーに優位性があるのは、いつまでだろうか?

結局は競合優位性を生むコアとなる人をどう育てるのか。
そして、その人をどう活かす為にテクノロジーを活用するのか。

何年たってもその話はいっしょで、活用するテクノロジーが変わっていくだけ。だからこそ、アナログ力を高めたい。そんなことをふと思った週の初日でした。

※今日は落ちなしの日記で完結。

当たり前の事実だけど、時代ごとに働き方の価値観は変わるという話。

働き方改革の話をするときにほぼ必ずといっていいほど、話題になるCMがあります。それがこれです。

「24時間、戦えますか?」のフレーズでおなじみ、三共の栄養ドリンク「リゲイン」のCMです。

www.youtube.com



黄色と黒は勇気のしるし♪ のフレーズは聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。いま考えれば「24時間、働けますか?」なんて、狂気の沙汰としか言いようがなかったのですが、このCMが一世を風靡しました。

第一三共ヘルスケア社の公式ページをみていると、社会の反響ぶりが伺えます。

・「24時間、戦えますか?」のフレーズは1989年流行語大賞 銅賞
・CD販売は「60万枚」の売上。※ミリオンも夢ではなかった?
・カラオケランキングでも、トップクラスの順位をキープ
高校野球の応援歌でも使用される

つまり、長時間労働が当たり前/カッコいいと思われていたわけです。
↓↓ リゲインの裏話はコチラ

www.daiichisankyo-hc.co.jp


強いジャパニーズビジネスマン。
24時間働ける、パワフルでできる男。

しかし、CMの変遷を見ると社会と働き方の変化が投影され、そのギャップに思わず笑いが出てしまいます。

例えば、これ。

佐藤浩市さん扮するビジネスパーソン。24時間、戦えますか?という力強さは一切なく、自信喪失。ちょっとぬけてるビジネスパーソンが表現されています。強調されているのは「現代のビジネスパーソンは疲れている」。

www.youtube.com


そして、次が2000年代中盤。ここでなんと「24時間、戦えますか?」が復活します。それがこれです。

www.youtube.com


約30年前は、24時間、戦えますか?が社会の当たり前に。
約20年前は、自信喪失。疲れ果てているビジネスパーソンに。
約10年前は、景気浮揚に伴い、24時間、戦えますか?が復活!!!

ということで、これだけ社会が変化し、そこで映し出されるビジネスパーソン像は大きく変わっていたというのがわかります。たった10年ごとの間で「24時間、働けますか?パワフルなビジネスパーソン」と「仕事はつらい。疲れがたまったビジネスパーソン」が行き来するわけです。

そして大事なことは、こうした時代に生きたビジネスパーソンはその原体験より、その働き方や価値観が「当たり前」になっているというのを忘れてはいけないということです。次の新しい働く価値観をつくっていく中で、こうした文脈理解は世代間の溝を埋める上でも大事な視点ではないかと思います。

さて、そういう話をつらつらと書いていくと、知りたくなるのが最新のリゲインのCMです。

調べてみたところ、最新は2012年? 元気を取り戻そう!のCMです。
ぜひご覧あれ。

www.youtube.com

 

最後に:
実はリゲインはこんなCMもやっています。哀愁が漂っていますね。。。。

www.youtube.com

日本の営業マンは、人工知能に代替されるのか、されないのか。

2月2日、Sansan社が主催する「働き方改革」をテーマにしたカンファレンスに参加してきました。2016年も伺っていて充実した内容だったので、今年も楽しみにしていました。

jp.sansan.com


結果は、大満足。「働き方改革」の最前線の一端を学ぶことができ、自分が日々の取材や情報収集だけではない視点が得られたのは財産となりました。改めて、このイベントに従事されていた皆様に感謝申し上げます。

さて、書きたいことはたくさんあれど、今日のブログの表題にも掲げている「人工知能と働き方」というテーマが刺さりました。なぜ、刺さったかというとここに働き方を阻害する根っこの一端を見ることができたからです。

内容は「人工知能によって、ひとの仕事は代替されるのか」
そして、ここで挙げられた表が興味深い内容だったんです。

日本のビジネスパーソンへのアンケートで、
「もっとも人工知能に代替されにくい職業は、営業」でした。

一方で並べられていた表は、オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授の研究結果でした。そこには「人工知能に代替されやすい職業:4位 セールスマン」とあったのです。

この違いについて、同テーマのパネラーである「厚切りジェイソン」さんはこう言いました。「欧米のセールスマンに比して日本のセールスマンは、非合理。そこに価値があると思っている。その非合理部分が代替されないと思っているのではないか」※一字一句合っているわけではないので、そこはご了承を。

的を射ている発言。セールスのプロセスでいえば、

「課題を抱えるお客さまをみつけ」
「課題の解決となる自社の製品を紹介し」
「お客さまに決裁していただく」

で、整理すると確かに代替される可能性が高そうな気がします。

「顧客を見つける」…顧客データもしくはネットの情報から対象企業を割り出し、順位付けするのは可能
「自社製品を紹介する」…製品を紹介するのはパターンなので代替しやすい。個別課題については、対話で十分対応可能。
「決裁していただく」 …唯一、決めてもらう、というのは合理的判断だけでは済まないところがあるので、ここだけ残るのでは?

大事なことは、「日本の」という点です。

合理的な決裁をするお客さまとセールスマンにおいて、人工知能で代替可能になるでしょう。一方で、営業の訪問を好んだりする非合理なお客さまと付き合うセールスマンというものから、人工知能の代替可否に文化背景が色濃く出ている気がしました。以前、とある著名なTOPセールスマンの方にインタビューしたことがあるのですが、理路整然と話をし、納得いただけるものだったと思っていましたが、お客さまは契約しなかったそうです。そして、お客さまはこういったそうです。『あなたのいうことは正しいかもしれない。だけど、あなたからは買いたくない』」——「製品を買う」ではなく、そこに人があることが日本独特のものであり、こうしたビジネス習慣や文化そのものがTECH浸透かつ生産性の妨げになっている事を改めて認識しました。

ほか、米国の経営では合理的判断で、セールスマンを人工知能に置き換えると決断した場合、セールスマンは異動かリストラとなります。一方、日本は解雇規制が強く、簡単にはリストラできません。その人たちの雇用を守る前提の決断となり、判断が鈍くなる可能性も否定できません。

ということで、「日本の営業マンは、人工知能に代替されるのか」というパネルディスカッションのひとつのテーマだけでもこれだけ考えることが多かったので、その気づきを一つひとつ考察し、アウトプットしていきたいと思います。

(余談)

この登壇で知ったのですが、「厚切りジェイソン」さんは、イリノイ大の人工知能の修士だったんですね。元GEのプログラマで、現テラスカイ社の役員という理系文脈の方だというのは存じていたのですが、まさか人工知能の研究もされていたというのは知りませんでした。。。。それだけに今回の登壇コメントもするどい発言が多々。いや〜、勉強になりました。

週休3日の働き方がニュースになる国。当たり前の国。

Yahoo!が週休3日の働き方を検討することが、昨年の9月に話題になりました。対象は、全従業員5,800人です。

this.kiji.is


働き方を変える理由は、「優秀な人材の確保」でした。実際に、多様な働き方を推進する企業には、多様でバラエティに富んだ人材が集まっています。優秀の定義は企業ごとに異なるため、この施策がどの企業にも有効か、というと違います。Yahoo!にとって優秀な人材を集める手段として有効ということでしょう。

さて、話を変えます。
週休3日制が、共同通信によって配信されるのが日本です。一方で海外ではどのような働き方があるのでしょうか。多様な働き方という文脈でよく話が挙がるのが「オランダ」です。そこで、オランダに住む知人にオランダの働き方について、話を聞きました。

結論からいうと、週休3日の労働者が当たり前のようにいる、という話でした。例えば、2、3歳の小さな子どもがいる家庭を挙げてみましょう。父親は、週4日勤務で母親は、週3日勤務という家庭があります。お休みの日はたとえば、父親は水曜日にお休みをとる。母親は、火曜日と木曜日にお休みをとる。そうして、子どもと触れ合える時間を確保しているそうです。とくに水曜日は『Papadag』(=オランダ語で「パパの日」)と呼ばれ、パパが平日に子どもと遊ぶ日として認知されており、周りの方も「今日は、『Papadag』なんだね」と声をかけてくれる、そんな環境なのだそうです。

参考になる記事を見つけたので、下記にリンクを貼ります。

otoyon.com


2000年ごろ、ドイツで働いていたときは、金曜日の午後はお休みでした。なので、週4.5日働くという感覚でしょうか。なので、週休3日の働き方が日本ではニュースになりましたが、海外ではすでに当たり前のように運用されているのです。

さて、ここからが本題。
では、オランダもドイツもなぜ、週休3日制がうまく運用されているのか。オランダの知人に話を聞くと、「何よりも大事なことは家族の時間だから」という話でした。家族との時間が何よりも大切なことで、仕事がそれを阻害するようならば、働き方を変えるというスタンス。ドイツでもそれが当たり前のように浸透していて、私が働いていた事務所のケースでは、昼休みは家に帰って、家族とランチをとって、また仕事場に戻るという方が多くいました。わたしも事務所から自転車で10分ほどの場所に住んでいました。職住近接が当たり前なんです。そして、何よりも家族の時間を大切にしたいから、仕事は時間内にしっかりと行うがモチベーションになっているんですね。だから、週休3日でも生産性が落ちないんだと思います。

週休3日が当たり前の国。それを支えるのは実は国民の「家族最優先主義」。そのモチベーションが生産性を支えている、という仕組みが見えてきます。

では、日本の生産性をあげる議論はどうでしょうか。企業の論理ばかりになりがちで、「個人はどういう働き方をしたいのか。何をいちばん大切にして働きたいのか」というのが、根底に見えないので、国の制度改革、企業の制度改革が進んでも、個人のモチベーションにつながらないのではないでしょうか。結局、箱だけ用意しても魂込めず。

個人が制度を使い切れないという事態になりかねないわけで、働き方改革で一人ひとりがもっと「どう生きたいのか、どう働きたいのか」を考える機会が必要があるのではないか、と思っています。仮に家族最優先主義ではないとしたら、日本人がモチベ―トされることは何なのでしょうか。

そんなことをふと思った月曜日の朝でした。




1週間で気になった記事を改めて洗い出してみる。そして、考える。

自分の情報元となっているのが、Facebook
知人のネットワークではなく、各分野の一流ビジネスパーソンをフォローすることで、タイムラインに他人の目を通して集まった情報が流れてきます。

メディアの記事、動画、本人の一人ごとなど。

それを、いいね!を押したり、保存をすることで、Facebookのアクティビティログに残しておき、週末にまとめて振り返るということをしています。今日は、そんな習慣をあえて、ブログの中で実施してみようと思います。

では、今週、タイムラインに流れてきて「いいね!」を押したコンテンツです。いずれも先読みコンテンツでいて、学びが多いものばかりです。

==【chibi がいいね!を押したコンテンツ】

1.

digiday.jp


「アテンション(興味喚起) × クリエイティブ = Sales(売上)」

スマホシフトする時代のアテンションを詰めた記事。スマホが爆発的に増える中で、これまでの広告手法では限界であり、逆にそれを捨てる勇気が必要とのこと。逆にマスに膨大な予算を投下しているのであれば、その予算を優れたコンテンツをつくることに注力すれば、ローカル誌ぐらいのコンテンツをつくれるはず。

(個人的な学び)
→既存のPR方法に疑念をいただくこと


2.

bizzine.jp


——先を見るために発掘するべきは、「情報」ではなく「人」。もっとも知見があるひとに聞きにいく。歳をとろうが一線級の方々に会いにいき、自ら情報を取得する。大事なことは目的意識を持つこと。双方の強みと弱みを理解すること。

(学び)
→わからなければ一線級の方に会いにいき、教えを乞う。
→教えを乞うだけでなく、何か役立てることがあれば、全力で応える。
→継続することで、ネットワークができる。ネ
 ネットワークがあるから、多様な仕事を生み出すことができる。

3.

www.dhbr.net

Yahoo!Japanの安宅さんと伊賀さんの対談。人工知能による働き方変化がわかりやすくまとまっています。先日、ご紹介しましたが、ユニクロを積極的に活用しようという決意表明!??


4.

style.nikkei.com

日経記事から。育児休業中にMBAなど、学びの期間にしっかりと当てたこと。そのひとつが育児MBA。1年の育休取得により、じっくりと学びの機会を得られる優れた制度だと思っています。

(学び)
・人生100年時代、とにかくインプット(学びなおし)が大事。
・女性のキャリアの方が、柔軟な働き方を許容できる。女性の経験がこれからの働き方モデルをつくっていくはず。


5.

cybozushiki.cybozu.co.jp


エネルギーをもっている人を採用するというメタップス。エネルギーさえあれば、学べるから、あとから知識はついてくるという話。エネルギーがあるひとには、元気なひとが集まってくる。何事も新しいことを生み出すにはエネルギーが大事で、エネルギーを持つためには、社員が「稼ぎ方」を知ることで大切です。

エネルギー量からみる、仕事術にフォーカスが当たられています。


ということで、1月13日(金)分を書いてみました。
いずれも働き方、学び方に特化した記事で、本当によく編集されています。

う〜ん、、、、今日は夜おそくになって、まったく頭が働きません、、、、
ということで、これからしっかり寝たいと思います。

人を動かすならば、まずは「仕組み」からという話

12日のTV番組「カンブリア宮殿」の特集が働き方改革でした。働くをテーマにするこのブログでもこの番組内容を取り上げないわけにはいきません。

www.tv-tokyo.co.jp

 

働き方改革の実例で出てきたのは、SCSK社 と ソウ・エクスペリエンス社。この中でも気になる事例について紹介したいと思っています。

長時間労働の是正:
残業を減らしたら、残業代を払う「スマートワークチャレンジ20」
年間有給休暇20日、月間平均残業時間20時間未満を目指したプロジェクト。長時間労働是正の場合、現場に対して「残業を減らせ」と号令し、強引に進めた結果、メンバーは早帰り、管理職はその分を請け負うカタチとなり、プレイングマネジャー化し、チームの教育が行き渡らなくなり、組織全体のパフォーマンスが落ちる、という話を聞きます。しかし、これを仕組みと時間軸の考えを置いて、解決していました。

残業代がないと、生活が成り立たない という社員の言葉。

生活を成り立たせるために残業する、というのは一見するとおかしな話です。しかし、そこに経営は真摯に応えた。部門ごとの残業時間削減の達成度合いに応じて、賞与などに上積みする仕組みを導入。TVで登場した女性は、約10万円程度上積みされていました。

残業を減らしたら、差分を社員に還元するというおかしな施策ですが、社員のモチベーションを落とさずに、働き方改革を進めるという意味でうまい仕組みです。またそれをずっと続けるのではなく、「習慣を身につけてから、裁量労働制を拡大する」こともしています。基幹職は、34時間分の残業手当を。それ以外は20時間分の残業手当分を裁量労働制の範囲で支給しているそうです日経ビジネスより)

まずは、残業しない習慣を身につけてから。
そして、その習慣が定着したら、裁量労働制に。
仕組みと文化醸成、制度をうまく噛み合わせたよい事例だなぁと思いました。
ちなみに、SCSK社全体の残業時間は、15年度で約20時間だそうです。

プチ子育てを経験する仕組み
ソウ・エクスペリエンス社の事例。子どもを連れて、会社出勤してもOK。放送内では、他人の子どものおむつ換えをする女性社員がいて、ディレクターの「大変ではないですか?」との質問に笑顔で「楽しんでいます」と応えていました。

個人的に、この仕組みは秀逸だと思っています。
プチ育児をすることで、子どもがいる家庭の負荷を社員全員が理解できるからです。自分も親になってわかったのですが、独身、とくに男性には子育ての大変さがわかりません。その理解が進むことで、社員の生活という背景まで気遣った対応ができるようになります。

男性管理職の“家庭内インターンシップ”を提供するスリール株式会社の堀江さんの話を伺ったことがあるのですが、独身男性管理職が育児を経験するとコミュニケーションが劇的に変わるとおっしゃっていました。ダイバーシティが進む組織の中で、社内で見える範囲だけでなく、社員の生活という見えない範囲まで理解が進むことは、組織文化の醸成に大いに役立つのではないか、と思っています。

drive.media

 

そんなことで、売上を落とさず、会社として損をしないで、生産性をあげ、利益を生むよい事例が詰まった番組でした。

まずは、社員の声を聞く。都合の悪い声にも耳を傾ける。そして、

「仕組み」で、まずは行動に変化を起こし、社員の習慣を変える。
「習慣」で、組織の文化を変える。
「文化」で、生産性をあげ、利益を生む。
「利益」で、さらに仕組みを変えていく。


一方で「では、自社でも同様の施策を!」となりがちですが、そもそものビジネスモデルの違い、社員の質(意識とか、ビジネススキルとか、モラルとか)の違いなど、前提が異なるので、うまくいかないでしょう。自社に合った働き方改革を社員といっしょに考え、行動できることが、いちばんの近道でしょう。

最後に。
働き方改革の話では「自社では無理」と最初から拒絶反応があるのですが、大抵が「やれば、できる」んです。そして、上記のプロセスは実は社内だけでなく、マーケットへのサービスでも同様のことがいえます。自社の働き方すら変えられない企業は今後の変化の時代に生き残るのは不可能ではないでしょうか。




クスッと笑ってしまう。学芸員の仕事をまとめた4コマ漫画

美術館が好きです。

そんな自分が気になっていたこと。

それは「美術館の展示場で座っている監視係の仕事」です。

偏見がちょっと入っていますが、「1日、ほぼ身動きせずに椅子に座っているのって、苦痛じゃないのかぁ、、、」とか思ったりしていました。椅子に座らず、展示会場を回りながら、お客さまが作品に触れることがないよう回遊する仕事ならばいいと思うのですが、ずっと椅子に座っているのはなぁ、、、。

そんな疑問を解消してくれる4コマ漫画を見つけました。
岐阜県美術館の学芸員(監視係)が描く「4コマ漫画」です。

内容がシュールで、クスッと笑ってしまうユーモアに富んだ漫画です。
まずは、こちらのリンク先をぜひ見てみてください。

corobuzz.com


(読者視点)美術館で暇そうにしている。
(仕事視点)私たちが暇=作品が平和でいられる証なんです。

(読者視点)美術館は涼しいし、快適
(仕事視点)10時〜18時に座るので、実は寒い。だから、防寒対策は万全。

(読者視点)美術館にいく人は、感性豊でセンスがある人が多い
(仕事視点)「ぷらっと美術館行くか」みたいな普段着の人がいるとうれしい。

(読者視点)作品にお手を触れないでください。注意するのは監視係の仕事。
(仕事視点)クレームの発端は別のお客さま。GOサインで前線に出陣!


監視係の仕事の一端が見えますし、当事者だからわかる仕事の楽しさや厳しさがユーモアを込めてまとめられています。職業柄「あの仕事は、どんな面白さがあるんだろう??」なんて、いろんな仕事に興味を持つのですが、傍目からみるとつまらなそうな仕事にも面白さがあり、そしてその楽しさをユーモアをもって拾えるのは、その仕事を心から好きな人だからだなぁっと感じさせます。漫画からも、仕事への愛情が感じられます。

そこで思ったこと。

いまの自分の仕事の面白さを、言語化するのって意外と難しいということ。考えてみると逆に仕事のネガティブなことは、言語化しやすいですよね。愚痴とか。人間、ネガティブなものほど、言語化できることが何とも不思議な話です。

仕事には、いろんな面白い一面があります。今回紹介した岐阜県美術館の学芸員(監視員)の仕事のように、自分の仕事の面白さを表現したり、言語化してみると面白いのではないでしょうか。仕事がつまらない、面白くないときほど、その仕事の面白さに目がいかなくなるという話を以前、聞いたことがあります。仕事の面白いことを知っていることが、どんなにつまらないときでも、原点回帰につながる気がします。

そんな風に漫画から考えました。

いや〜、改めてですが、この監視係の漫画シリーズはほんっと面白いです。
何よりも切り口が鋭いし、ユーモアたっぷりに自分たちの仕事を読者に伝えきる表現力に脱帽。改めて言いますが、監視係に興味のない方もぜひだまされたと思って一読してみてください。絶対にウケます。はい、絶対です(笑