小さな編集長の雑感(限定版)

小さなメディアの編集長が、仕事や働き方の気づきを書き留めるブログ。限定版。

オウンドメディアは、既存メディアと補完関係にあるのかもしれないという話

ふわっと思ったことを書き起こします。

いま、オウンドメディアの編集責任者を担う上で、既存の大手メディアの編集に関わる方との接点も徐々に増えてきました。とくに大手メディアでは取り扱う分野も広く、わたしが専門とする「働き方」や「キャリア」に関する情報も数多く発信しています。

そんな大手メディアの編集の方と話をしていて、わたしたちが配信する情報は高く評価いただくことがあり、その評価ポイントにオウンドメディアが生きる道、既存メディアとの棲み分けとなるヒントが隠されているのではないか、というお話です。

先に、答えをいうとポイントは、「大手メディアが扱いにくい分野を扱う」ということです。

大手メディアが扱いにくいというのは、雑誌でいえば、その特集が売れない。PVが増えないコンテンツテーマということになります。社会性の高いメッセージを売りにする雑誌メディアも以前は月ごとのテーマを「これは売るテーマ」「一定売れなくても社会に問うテーマ」という月刊誌ならではの決め方をされているところもあったと聞きます。しかし、雑誌メディアの売上は大幅に減少傾向。またWebメディアに至っては、PV偏重による広告が大きな収益源になっていることから、ちょっと過激でも話題性を重視したコンテンツ配信になりがちになります。特にタイトルは内容とかけ離れたふざけたタイトルになるのもここが原因だったりします。

では、ここでいう社会性が高いが雑誌が売れない、PVが伸びないテーマとは何か。一例を挙げると「女性の働き方」「女性のキャリア」だったりします。女性の働き方、キャリア特集というのはニーズはありつつも、PVが大きく伸びるコンテンツではないです。某雑誌編集長をされていた方も同様のことをお話されており、結局はニーズを集約した「女性専門誌」「女性専門のWebメディア」となり、その変化を気づいてほしい男性ビジネスパーソンには情報が届かない縮図が出来上がります。

例えば、共働き世帯がマジョリティになり、お互いのキャリア志向を理解し、刷りあわせを行うことは必然的に行わなければならないことです。家庭内の理解がなく、摩擦が起きている状態でよいキャリアを築けたという話を聞くことはあまりありません。パートナーや家庭の理解が大事であり、その理解を得るにはコミュニケーションをとり、パートナーのキャリアも理解することが重要になるわけです。しかし、こうした共働き世帯のキャリアの変化といった本当に必要とされる情報は取り扱われない傾向にあります。つまり、大手メディアには扱いにくいテーマがある、ということです。

しかし、オウンドメディアは違います。企業の在り方を社会にメッセージするメディアであれば、PV偏重にならない編集方針、コンテンツ制作が可能です。そうした隙間のコンテンツは翻って実は「大手メディアがほしい情報コンテンツ」となり、希少性が増していきます。結果、補完関係になる可能性があり、よりよい関係を構築できるのではないか、という話です。

全部が全部、そうした「大手メディアがやれないこと」というポジショニングをするわけではないですが、大手と同じ情報コンテンツを配信していてもオウンドメディアに価値は生まれないわけで、このあたりはオウンドメディアという特有のメディアの編集長として意識すべき点かなと思うわけです。

賞味10分で書いた自分めもなので、文章が荒いのはご了承ください。ぜひ、編集の方がこちらをご覧いただいたら、ぜひご意見をいただけたら幸いです。


100記事を書いての学びを「最強の質問」で振り返る

ゆるりと続けてきたこのブログ。2016年10月1日からスタートして、本日で100投稿を迎えました。いつの間にか、読者も70名に近い方にご登録いただき、ほんとうにありがたいかぎりです。読者がいるって何よりのモチベーションですからね! ということで、節目の投稿になったので、ざっとこれまでのブログを書いてきたことの学び、振り返りを実施します! ※前回は下記の記事でまとめております。

chibiblog.hatenablog.com


1.時間の流れの順序を見直すことによって、思考過程を振り返る問い「今回の営みは、最初に何をして、次に何をして、最後にどんなことをしましたか?」
最初:前回の「最強の質問」でも振り返った通り、ブログの開始は「俺たち毎日ブログを書くぜぃ」の企画に賛同したこと。元々プレッシャーをかけないと動かない自分の性格があるため、「グループで取り組むこと」「(少しの)罰ゲームを用意すること」「お互いを励まし合うコミュニティをつくること」を仕掛けとして盛り込みました。

次に:毎日ブログを続ける上で、もっとも大事なことが「書くねたを見つける」こと。ここで大きく行動が変わったことが2点。1つは、過去のめも書き、研修資料などを持ち出して、気づきをリスト化したこと。二つ目は、日々の気づきをすぐに手帳にめもする習慣をさらに強化したこと。

実は、わたくし、メモ魔でして、気づきはすぐにめも帳にめもします。しかし、定期的に振り返る習慣があったかというとないわけで、せっかくの気づきが定着せずに終わっていることも少なくありませんでした。今回のブログを継続することで、この気づきを改めて振り返るキッカケができたことはポジティブでした。

また、二つ目は、メモ魔をさらに加速させてくれたこと。日常に気づき、とくに自分が面白い!って思ったことは、その背景に何かしら隠されているわけで、「なんで、面白いと思ったのか」をすぐに書きとめ、そこを軸に思考を凝らすというサイクルがまわりだしました。アンテナ高くキャッチアップし、それを考える機会をつくる。これがブログを書き出す上でいちばん身になったことかもしれません。

最後に:まだ100記事ということで終わりではありませんが、1記事1万PV超えの記事も配信することができ、欲が出てきました。ゆるゆると自分の思考の整理で記事を創っている一方で、読者観点を意識した記事も合わせて配信してみることに今後していこうと思います。

2.関心や意欲の高まりを聴く問い「今回、がんばったことはなんですか?」「今回、嬉しかったこと、好きになったことはなんですか?」「もう一度やってみたいことはありますか?」
今回がんばったことは、より早く端的に伝わる記事を書くこと。夜にダラダラと書き出す習慣を一掃し、子どもの保育園を送ったあとにサッと書き上げる。その時間はおよそ30分。先に頭の中でテーマを考え、構成を考え、記事のイメージがなければできません。そうした制作プロセスを見直し、締め切り効果を利用して一気に書き上げる鍛錬をしたこと。

嬉しかったことは、そうして30分で書き上げた記事が大ヒットして、1万7000PVを獲得したこと。記事の質は、かけた時間に比例はしないということを改めて実感しました。

もう一度やってみたい、といえば、上記のようなヒット記事を配信すること。いまは比較的自分の思考を整理するための「日記」の色合いが強いものの、自分自身の学びや日々の実験が多くのひとの関心ごとになることを実感できたので、そうした「読者観点」の記事を配信していくことは今後と異なる点です。


3.創造性の高まりを聴く問い「今回の学習で、工夫したところはどこでしょう?」「今回の学習でよく考えたな、我ながらいいなと思うのはどんなところでしょう?」
短い時間で、記事を書き上げるということ。そのために集中するためのお作法を取り入れ、それを毎日実践したこと。

chibiblog.hatenablog.com

集中に詳しいとある専門家に聞くと、「集中は鍛錬できる」といいます。つまり集中する時間を増やし、集中の感覚を身体が覚えると集中しやすくなるということ。これは日々の業務でも活かされていて、ブログを書くという実験行為が実務にもよい影響を及ぼしています。

4.授業の初めとの違いへの問い「初めに予想したことは合っていましたか? 予想した方法は良かったですか?」「今回の学習で、分かった、できた、できるようになったことはありますか?」
連帯責任として、企画を運営するというのは良かった。しかし、ルールを緩くし、それぞれの適応ルールがバラバラになるとモチベーションにばらつきがでるため、毎日続けるひと、週1回の人が同様にモチベーションを保つのは難しいという学びがありました。

5.前回との違いへの問い「前の時間より、自分がよくなったなと思うことはありますか?」
明らかに短い時間で記事を書くという点はよくなったこと。その背景は前述にもあるとおり、集中のお作法を取り入れ、没入する鍛錬が定期的に行われたことが寄与しています。

6.学習集団としての雰囲気の高まりを確認する問い「この人はがんばったな、よかったなと思う人を教えてください」「あなたは、どんなことをがんばりましたか」
前回の企画参画されていた方は除くとして、小田川さんと北村さん。小田川さんは毎日参加メンバーへのフィードバックをされていて、丁寧にコメントをされていた。やっぱり記事を書く限りは反響や感想というものがいちばんのモチベーションであり、それを上げ続けてくれた小田川さんには頭が下がります。また、別の企画で参画されている方ではありますが、北村さんは毎日ブログを書き続け、結果、自分よりも先に100記事達成していました。「若い者に負けてられない」という闘争心を煽られたという意味で北村さんからもよい刺激を受けています。


7.友達の思考や表現などのよさへの問い「友達の考え方や表し方でなるほどなと感心したことはありますか?」「友達の考え方や方法で、今後真似したいなと思ったことはありましたか?」
失敗談をネタ化できること。日々の学び、ということでカッコつけた記事が多いところが自分の悪い癖で、全般的に自分自身をより良く見せよう、見せようという変なところがあるように思う。総論、人間くささってあると思っていて、自分自身も失敗を多く経験しているし、落ち込むこともある。そうした人間っぽさをどう表現するのか、という点はいっしょに企画をされている方の記事から学ぶところです。


8.考え方の合理性・簡潔性、総合的なものの見方を促す問い「分り易い考え、簡潔な考え、いつでも使えそうな考えはありましたか?」「いろいろな考えをまとめて、同じだなと思うところはありましたか?」
一つは、仕組みによって全体のパフォーマンスを最大できること。ゴール設定、参加メンバーのモチベーション管理(個々のフィードバック、連帯責任など)、動向の見える化Facebookメッセンジャーの活用)など、チーム運営で実ビジネスに役立てられるノウハウ蓄積はできた。

あと個人でいえば、明らかに集中のお作法。ゴールのイメージ、締め切り効果の活用、集中できるための環境づくりなど、お作法を毎日その通りに実践することで集中しやすくなるという体感値を得ることができた点。


9.内容の価値を聴く問い「今回学んだことで、一番大切だったのは何ですか?」「先生はみなさんと、今回はどんな学習をしたいと思っていたと思いますか?」「今回、休んだ友だちに教えてあげるとしたら、何をどんな風に教えてあげますか?」
いちばんの学びは、書くことが学びにつながるということ。電通の方だったと思いますが、あるクリエイターが「書けないということは、考えていないと同じ」という言葉を残されています。本当にその通りです。書くということが、いちばん思考を深める最良の手法だということが大切な学びのひとつです。

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ということで、100記事記念で「最強の質問」で今回の機会を振り返ってみました。ゆるゆるとやっていますが、日を置くよりも毎日続ける方が学びがあるので、平日は毎日更新していきます!

100記事、楽しかったなぁ。つぎの桁替え1000記事までさらに学びを楽しみたいと思います。

1週間で気になった記事を改めて洗い出してみる。そして、考える(2017/08/26)

おなじみのこの企画。夏休みを挟んでだいぶ期間が空いてしまいましたが、その間に気になった記事をまとめて振り返ってみました。

1.

www.businessinsider.jp

最初のひとことが面白い。「働き方改革は、つならない」。端的にいえば、物を大量生産する価値観から抜け出せないまま、そのビジネスモデルを軸に生産性を語るからおかしくなる。クリエイティブワークは、一見無駄ともいえる行いがある閾値を超えると無限大に大きくなる。この両軸をバランスよく考えることが必要。日本の場合であれば、ふたつ同時よりも社員の特性に合わせた振り分けが必要かもしれない。だからこそ、社員理解は定量、定性的にももっと深めなければならない。社員の特性をまったく把握できていない会社って多いですからね、、、、、、、いま、上司の目から見えているものすべてが社員の能力のすべてだと勘違いしている方もまた多い。組織の理解不足、社員の特徴理解という根本的課題に目を向けないといけない。

(個人的な学び)
→クリエイティブワーク型の働き方改革へ移行すべし。
→結局は、実験のサイクルをどう回すのか。余白があっても、このサイクルがまわらなければ意味がない。
→実験のサイクルには、知の探究と深掘り(深化)が大事。それを支えるのが、動機。動機なくして、個人・組織の活性化はありえない。原点は、そこ。
上記を間違うと、結局つまらない働き方改革になる。


2.

smartlog.jp

すごくシンプルな話なんだけど、奥が深い。例えば、好奇心と探究心が旺盛 という話。入山先生がよくお話される知の探求と知の深化という話とまったく同じ。最近、コワーキングなど人が集う場には探求型の人材が多く露出されるようになってきたものの、本当に露出されるべき知の深化型のひとをあまりみかけない。今後は、探究心=知の深化について、人材開発視点で多く語られるのではないかという学び。ほかの項目も言いたいことばかり。普段は倹約家、しかし使うときは潔い、という話とか。

(個人的な学び)
→ソーシャルで知の探求は以前よりしやすくなった。あとは深化。深く考える思考力を養え。バランス大事。
→お金を出し渋るな。お金を使うとは、人を選ぶということかも。ギバーとテイカーの判断大事。
→目力が宿るのは、知の好奇心と探究心から。いまの自分は探究心に振ってみるのもありかも。

3.

thepassion.jp

マクドナルドをV字回復させたマーケティング責任者:足立さんの記事ですね。リンク先は全4回シリーズの3回目。成長の判断軸、時間の使い方、人の付き合い方など。今回多く語られているのは、時間の話。いちばんはやっぱり時間が貴重。そのために、どう時間配分を考え、学びにつなげるのか。しいてはその学びを成果につなげるのか。足立さんの仕事の一端を垣間みることができます。

(個人的な学び)
→時間がもっとも大事。お金をかけて時間を確保できるならば、そこは投資すべき。
→人からの学びは貴重な時間。多様な人と会い、学び会うことがマーケターの財産になる。
→仕事にこだわれ。成果がそのまま自分の「ブランド」になる。
 ※ブランドとは、このひとに任せたら成果になる、という信頼。

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ほかにも多数取り上げたい記事がありましたが、今回は上記3つをピックアップ。とくに舞子さんの話は、いつの時代も変わらない昇る人材の特徴を表しているので、必読の内容かも。

少しラフにまとめたので、後日とくにビジネスインサイダーの記事はもっと深掘りしたいと思います。ではでは。

ブログで読まれる文字数は何文字が最適なんだろうか、と考えてみる

「俺たち、毎日ブログ書くぜぃ」の企画にのっかって、早98記事目になりました。夏休みなどの休暇期間は更新を空けているとして、日々の小さな気づきを約1,000文字に落とすというのは、アンテナを高くもち、感度を高めるよい行為だと思っています。

さて、そんなブログですが、ここでひとつ問いを立てることにしました。それは、

「ブログ記事でもっとも読まれる文字数は何文字か」というものです。

こちらの俺たち、毎日ブログ書くぜぃの企画では1,000文字をMinに定めていますが、その根拠はまったくありません。ということで、過去記事も含めて、この問いの解になりそうなものを取り上げてみました。

【過去の参考になりそうな記事】

gendai.ismedia.jp

totodaisuke.weblogs.jp

blog.livedoor.jp
話題として取り上げられているのは、米国のニュースメディア「QUARTZ」で活用されているQUARTZカーブです。端的にいうと「短い文章か、長い文章しか読まれませんよ」という話です。もうひとつは、いまは廃刊となってしまったR25の話。ここでもコラムは短い文章でまとめるということが書かれています。具体的な数字を挙げると下記になります。

■QUARTZカーブ:
・500ワード以下、800ワード以上の記事がもっとも読まれる。
 →英文のため、日本語だと2.5倍して「約1250ワード以下/2,000文字以上」

R25
・コラムの文字数は、800ワード

では、なぜ、文字数は短いor長いがもっとも読まれるのでしょうか。これはスマホ台頭による影響が大きいというのはいうまでもありません。大抵のメディアは、7割から9割がスマホ読者だと思われます(ここは経験談)。R25のつくり方でも言及されていますが、読者の生活の中でどうコンテンツが読まれるのか、ということと、その読み手の本当の欲求がどうなのか、という点が重要視されるということになります。

スマホでコンテンツを読む時間というのは隙間時間が主だと思います。例えば、通勤時間。それを狙ったメディアはそのスタイルに合わせて、コンテンツの文字数も調整しています。例えば、R25は駅と駅の間の時間に合わせて、文字数を800字以下にしたというのは有名な話です。

実際に自分が手がけている記事をUserInsightで調べてみても、上記のことが同様にいえることがわかっています。※ここはデータ出せなくてごめんなさい。

ということで、改めてこの「小さな編集長の雑感」:PVランキングと文字数を整理してみました。

1:なぜ、カフェだと仕事がはかどるのか、を実験してみた。(1,520W)
2:雑談の捉え方で組織の生産性が変わる、という話(2,136W)
3:海外では、「上司にお酌する」はNGだってこと、ご存知ですか?(1,127W)
 :
4、5位以降を調べてみるとだいたい1,000W前後。Gで滞在時間を見ていても、3分〜4分なので、おおよそQUARTZの話はマッチしているように思われます。もっとツールを活用して調べてみても面白いと思うのですが、まずは20分程度でその傾向を掴んでみようといったこの試み。

まずは1,000Wという文字数は適していそうということで、今後もこの文字数を基準に書いていこう。そして、長くなるようならば、2,000Wに至るよう密度の濃い内容を配信していこうと思います。

落ちですが、では今日の記事は何ワードだったのか。
1484Wでした。ここまできたら削るか、内容を濃いめにして2,000Wにしないとダメですね。。。。精進します。

 





子どもの自由研究は面白いという話

夏休みのため、更新が滞っていましたが本日より再開します。夏休み明けの第一弾は、「子どもたちの自由研究」についてです。

話題は、息子(4歳)が行きたがっていた自然博物館から。

ここでは、夏休み中の子供たち向けに「世界の昆虫展」と「子どもと大人の自由研究」の展示がされていました。中でもわたしが目を引いたのが「子どもたちの自由研究」です。

何が、興味を引いたのかというと問いと実験プロセスがとにかく面白い。

・えさによるカイコの変化
・さわってよいケムシとさわってはいけないケムシ
・モンシロチョウ幼虫大研究 太陽が当たらないとどうなるのか
・なぜ、バナナにムシが集まるのか
・クワガタの好きなものは?
など

小学生の学年によって問いのレベルは違いますが、低学年の学生の問いの方がシンプルでユニーク。何より個人的に面白かったのが、「クワガタの好きなものは?」の実験。実験プロセスは、段階分けされており、最初は、5種類の果物を与えて、複数回チェックし、反応がよいものの順位付けを実施。実施後、次はいちばん集まった果物に酢をかけたり、砂糖を加えたり、レモン汁をかけたり、と条件をつけて実験。こうした実験結果をまとめているものでした。

正直、小学生の低学年でこれだけの実験プロセスを構築することも驚きだったし、その考察もユニークでした。好奇心の赴くままにテーマを立て、計画し、実行し、考察する。そして、新たな計画を立てる。ビジネスパーソンとしての基礎となるPDCAサイクルがうまくまとまっている自由研究でした。ちなみにこうしたPDCAサイクルをまわす訓練というのが自由研究だったり、子どもの悪戯だったり、多々あるものだなぁっと改めて感じました。 ※参考:過去にこんな記事も書いています。

chibiblog.hatenablog.com


当然、子どもの自由研究とはいえ、大人のフォローが入っているとは思っています。しかし、自身の好奇心の赴くままにテーマを立て、計画し、実験し、考察し、また計画を立てるというプロセスを学ぶ本当にいい機会なのだと思う一方で、社会人になってどれだけこのサイクルを回し、学びにできているのか。改めて自分への問いとして跳ね返ってきました。すでに計画された仕組みの中で、単に実行(DO)だけの生活に慣れてはいないか、考えさせられるよい機会でした。

いまの自分は小学生よりも、退化してはいないか。

子どものような大人は強いとか、(※いい意味で)バカは強いとかいいますが、学びの手法は大人よりも子どもの方がより濃いものなのかもしれません。

最後に自分が学びとなった余談をひとつ。
昆虫展といえば、展示は「標本」になります。標本の作り方って昆虫によって違うってご存知ですか。

大きく分けると、肉食と草食で分かれるんです。

肉食の例は、トンボ。トンボは小さな昆虫を食べるので、標本にする際にこの「肉」を体内から捨てないと腐ってしまうそうです。そのため、トンボの標本をつくる際にはまず糞を出させ、「餓死」させてから標本をつくるのがコツなのだとか。

う〜ん、子どもの自由研究ってほんとうに面白い。4歳の息子が大きくなったとき、どんなテーマを自由研究として立てるのかな。今から楽しみになりました。

どういうひとに仕事がまわってくるのか、という議論の話

先日、とある働き方に関するセミナーに参加してきて、登壇者に当てられたテーマがあった。それが、「新規事業/難易度の高い仕事はどういうひとに任されるものなのか」というものだ。

スキルがあるひと、経験が豊富なひと。たしかにいろいろな尺度があるかもしれない。しかし、そこでひとつ面白い尺度をお話されていた方がいた。

それは、「楽しそうに仕事をしているひと」というものだ。

先に発言された方のバックグラウンドを紹介すると、大手小売りサービスの会社で新サービスを次々と開発し、大活躍されている方だ。経験則でも当てはまる尺度らしい。

仕事を任せるからには、やり遂げてくれそうなひと、続けられそうなひとを選定する。そして、大きなサービス開発ほど、仲間の力を引き出し、辛いときも鼓舞することが必要である。そこでいちばん大事になる素養が「大変だけど、楽しそうに仕事をしている」ということらしい。

たしかにその通りだ。過去に新規事業プランなどに関わらせてもらった経験からも採用されるのは、プランは荒くてもいいから、いちばんのポイントは「熱量」や「エネルギー」といったものだった。楽しそうに仕事をしているひとにはエネルギーが充填されている。

そして、ここから大きなポイントがある。

楽しそうに仕事をしている、というのは、目の前の仕事を自分ごととして解釈できているということだ。新規事業などの場合よく聞く話だが、「根回し」「社内の政治理解」といったプランを進める段取りが重要だ、という話をよく聞く。新規は弱い立場だから、そうなるそうだ。しかし、この「楽しい」が重要だという方は別のことをいう。

「結局、そのプランが面白いか、面白くないか。根回しとか政治とかいうのは、本気でそのプランを面白いって思っていないということです」

サービス開発で成功できず、四苦八苦していると小手先のテクニックに頼りがちになる。しかし、大事なことはシンプルに「何でも楽しく仕事ができる」であり、「想いをもって仕事ができる」というのがいちばんというわけだ。

なぜ、エネルギーがあるひとほど、成功するのか、というのはまた別の機会に書くとして、「どういうひとに仕事がまわってくるのか」といえば至ってシンプルで、しかし、それがなかなかできないという話だ。

ほかが楽しそうに働けていないのであれば、逆に楽しそうに仕事をするだけでチャンスがまわってくるかもしれない。

いい場は、見えない工夫で溢れているという話

先日、知人のFacebook投稿でこんな話が流れてきました。

内容は、「プロが提供するビールの話」。

投稿からすべてを把握することができなかったのですが、推測するにとあるビアバーの話らしい。ビアバーの店長をAさんとします。そのAさんが提供するビールの感想から読み取るに、同じ場であってもひとによって学びが大きく異なるという話でした。

一つ目は、「ビールが美味しい」「注ぎ方がプロ」とビールだけに関心があるグループ。二つ目は、「Aさんのお話が上手」「会場の空気を掴んで話をしていた」とAさんと会場まで関心が及んでいたグループ。

どちらがいいわるいというわけではありません。ただ、学びに差があり、せっかくの機会なのに最初のグループの人たちはもったいないかも、という話です。

ビールが美味しい、注ぎ方がプロといったもののは、表層的なもの。二番目は、ビールだけでなく、Aさんが生み出す「場づくり」まで言及がいっているものになります。Aさんのビールを美味しく飲める空間はどのようにして生まれるのか。背景にはきっとAさんの日頃のビールへの学び、会場準備、段取り、それを彩る話術。そして、Aさんを囲むお客さんたち。その絶妙な調和が素敵な場を創りだしているのだと想像ができ、同じ空間にいながらも、学びは多々生まれると想像できます。

わたしもイベントを主催する立場なので思うことですが、よいイベントというのは参加者が気づかないところでものすごい数の工夫をしています。神は細部に宿るというやつです。例えば、説明の段取りひとつをとっても違います。参加者のチョイスひとつとっても、違います。逆にこういう目に見えないところに「こんな工夫をされているじゃないですか?」なんて言われると、「わかってくれます!!」と心の中で感激してしまいます。

よい場ほど見えない工夫がたくさん凝らされているんです。自然によい場が生まれることは経験上、絶対にありません。主催者としてはこうした目に見えない工夫に気づいてもらえるとすごく嬉しかったりするんですね(笑 そしてそんなところまで関心が行き届くひととはもっと話をしたくなるので、自然に距離がグッと縮まります。

ということで、見えない工夫まで関心が行き届くと学びが深まり、それがキッカケでいいつながりが生まれ、そのつながりが新しい学びをもたらしてくれるはずです。学びって、物事への最初の関心の深さが大きな分岐点になるのではないでしょうか。

 

時間が経つとこれが大きな差を生みそうです。ではでは。

1週間で気になった記事を改めて洗い出してみる。そして、考える(2017/08/05)

おなじみのこの企画。今週1週間で気になった記事をまとめて振り返ってみました。

1.

グーグルの人材開発で活躍したピョートル氏「多様性で常にユーザーを上回るべき」

https://meti-journal.jp/p/44

なぜか、OGPをひっぱってこれないので、テキストにて。グーグルのアジアパシフィックの人材開発責任者を務めたピョートルさんの記事です。特に気になるのは、デジタル世代の積極参加について。世代間で得てきた経験、強みや弱みもまったく異なるわけで、いまはその融合できる組織が強い。成功体験に縛られて、トップダウンの組織はいまだに多いけれども時代から取り残されていることを自覚すべき。多々、学びのある記事なので、これは必読

(個人的な学び)
→組織の在り方の変革期。デジタル化が進む中、強みを持つ世代をもっと活かすべき
→強みを持つ世代はコミュニケーションの量が必須。1on1で相互理解を促進すべし
→管理職比率の定量目標など、弊害も多々あり。原点回帰でどうあるべきかの共有が大事

2.

jp.techcrunch.com

海外人材コンサルタントの講演記事。網羅的に今後のHRサービスの予測がされており、広く認識するには非常に役立つ記事。キーワードに上げられているのが、「エンゲージメント」。いかに個人と個人をつなげ、シナジーを生むのか。そのための信頼関係の構築と見える化が改めて見直されそうなところ。前述の記事でも取り上げられているけど、人と人の信頼関係という当たり前のようでいて、会社内でおろそかにされてきたことにフォーカスが当てられるのがこれからというイメージ。

(個人的な学び)
ゆりかごから墓場まで 人生の尺度でHRが語る。点から線の時代へ
→人と人の信頼を支援するTECH活用。終身雇用という安心社会から信頼社会への転換期
→TECHの勃興時代。競争が生まれるからこその新しい産業が立ち上がる予感あり

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今週とくに気になった記事はこの二つ。ほか、ニューストピックスはあったけども今回は省略。しかし、今週なぜか、多く語られていたのが、「人によって、観点が違う」ということ

1.ビールのイベントに招待されていた感想と学びにおける参加者の捉え方の違い
2.レタスクラブの記事。家事をお願いしたい夫の観点と捉え方の違い ※共感は難しい
3.エストニアと日本によって仕事の捉え方が違うという話

ひとによって観点が異なるというけども、その視座をどこに持っているか、という点が大事。ここは別途記事化しようと思っています。

ということで、今週は「時代の変化による組織の分岐点」「時代変化の中での観点の違い」が主な学びに。ということで、自分もより多様な視座の学びを得るということで今週末は自治会の夏祭りの裏方対応へ。これからみんなで設営です。
地域の活動に精を出して、新たな学びを得てきます。ではでは。

知識があると毎日の仕事は実験場(ラボ)になる、という話。

今日は、生産性向上の話に合わせて、「集中」について書いてみます。

最近、わたしのまわりでは生産性向上の話になるといつもキーワードになる言葉があり、それが「集中」です。ちょっと言葉を変えると「没入する」とか「夢中になる」という言葉に置き換えられるかもしれません。実際に誰もが経験があると思いますが、この「没頭している」時間こそがもっとも生産性が高いと実感する方は多くいると思います。「あれ?集中していたら、もうこんな時間だ」って。

それで、ちょっと考えるわけです。集中しているときがより生産性があがるのであれば、もっと集中時間を意図的に創りだせばいい、その環境をつくりだせばいいって。

それで、今日は実際にできることを挙げてみようと思いました。下記は、実際にわたしが自分で実験したり、お話を聞いた話になります。

定量的に、集中を測ることはすでに可能です
最近では、この集中というものを定量的に測るツールも開発されて、集中時間をつくりだすためのPDCAをまわしやすくなってきています。その代表例が「JINS MEME」です。端的に説明すると、集中している状態ともっとも関係が深いのが「まばたきの回数」で、姿勢などの要素を組み合わせて、メガネをかけながら集中を定量的に測定するというツールです。ウンチクですが、集中している時間だとまばたきの回数が通常の1/6になるのだとか。ほか、Bluetoothでアプリ連携できるので、スマホで簡単に「集中時間」の振り返りが可能です。

(参考)

jins-meme.com


実際にJINS MEMEをつけて、1週間テストをしたことがあるのですが、数値と体感値は精緻に近い印象でした。例えば、そのテスト期間で、わたしがもっとも集中力が高くなったのは、上司との「評価面談」の時間でした(笑

事前準備も含めてじわじわと集中の数値が上昇し、MTG時にはピークに。終了すると崖を滑り落ちるがごとく減少へ(苦笑 ほんとうに素直です。

ほか、昼食などではリラックスしているため、集中の数値が低くなる。当然、ランチからの復帰直後の時間は集中しづらい時間帯になるため、作業だと眠くなる可能性高いとか。あと夜型、朝型というのは先天的なものらしく、わたしは測定する限りでは、「朝型」の人間だとわかりました。夜に絶対に集中できないので、資料づくりやこうしたブログを書くといったことは朝にいっきに集中して実施した方が効率がいいようです。

そんなことで、実は簡単に集中時間というものは個人の意図でつくりだすことが可能です。でも、JINS MEMEをもっていない、という話もあるので、簡単でいいので、その日の作業と時間のExcelシートを作成し、集中の度合いを定量的に記入して、分析するということもありです。精緻とまではいきませんが、分析してみると傾向がわかります。

ほか、今日はJINS MEMEの話を中心に書いていますが、簡単に集中時間をつくりだす「技術」というものもあります。3ステップで集中に入る、というもの。ぜひ興味があれば、試してみてください。

chibiblog.hatenablog.com

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ということで、集中のことについて、書いてみました。それで、今日いちばんお伝えしたかったことは、「仕事は、工夫次第でいくらでも面白くできる」ってことです。

上記の知識を得ると、「ちょっと試してみたいな」って思うと思います。新しい知識を得ると仕事場は「作業場から実験場(ラボ)」に変わります。実験場(ラボ)に行くっと思うとちょっとワクワクできると思います。

結局は、生産性向上につながるものって、些細なことでもいいのでこうした仕事の「ワクワク感」をつくりだすことなんじゃないかな、って思い、朝の20分で集中して書いてみました(苦笑

ではでは。

ひとは、生き物なんだ、というごく当たり前のはなしについて

昨日、生産性向上について、気温とCO2の記事を配信したところ、SNS上で思わぬ広がりとなりました。

chibiblog.hatenablog.com

そうした中、SNS上でどんなコメントが配信されているのか、というのが気になるところでして、ツールなどを用いてコメントを収集してみました。主なコメント内容は、「カフェで生産性があがる理由が知れた」という感激のコメント、またCO2を測定する機器に関する情報交換といったもので、多様なコメントが生まれていました。

そんな中、わたしが目を引いたコメントがありました。

「人間は、動物であるという前提を忘れないようにしないと」

そうです。ひとは、生き物であるという前提が働き方を語る上で抜け落ちてはいないか。

昨日の話では、気温とCO2と生産性の関係でしたが、「カフェの方が涼しくて、頭がスッキリするじゃん!」というごく当たり前ともいえる話の因果の一部を解説したに過ぎません。シンプルにいえば、「いちばん、自分が快適だと思う環境で仕事をする」というだけの話で、大事なことは感情を抑えながら、普段の業務に向き合ってはいないかということです。

室温が暑い →もっと涼しい環境ならば、集中できそう
周りがうるさい →電話がかからない場所ならば、集中できそう
つかれやすい →休憩をとる。もしくは休暇をとってコンディションを整えたい

生産性を妨げる根っこがこの生物としての前提を無視した働き方、という話です。ある記事で「日本人は、我慢し過ぎ」というコメントがありましたが、これも終身雇用が前提で、会社が一生守るからいまは我慢という慣習が色濃く残っているに過ぎません。今後、終身雇用が守られ続けると信じる方は減少の一途になるでしょう。であれば、過度に我慢することはないですし、我慢しつづけてきた働き方をベースに改善を続けることに意味があるのか、という観点が必要かもしれません。

生物的という話は、科学的根拠のある事例が多々出てきています。なので、いま働き方改革という名目があるからこそ、大胆に変化するチャンスがあるのではないか、と感じています。当然、ビジネスモデルも変わっていきますし、ビジネスはさらにスピードを増していくので、このままでいいと思っているひとの方が希少ではないでしょうか。

最後に、ひとこと。
これからは「ひとは生き物なのである」という大前提に立った働き方に寄り添っていくのではないか。最終的には、人間理解の深さ、日本人への理解の深さがより大切になる、と切に感じています。